訃報を受けて、米カリフォルニア大学ロサンゼルス校前に飾られた李文亮医師の遺影 (MARK RALSTON/AFP via Getty Images)

李文亮医師の死から一年 「中国嘆きの壁」に思いを綴る人々

新型ウイルスによるパンデミックについて警鐘を鳴らしたというだけの理由で、中国当局から訓戒処分を受けた中国湖北省武漢市の眼科医を讃える声は、一周忌を迎えた今も鳴り止むことはない。

発病して入院した後も、オンラインのチャットルームを通して同僚等に警告を発した李文亮医師が亡くなったのは、2020年2月7日のことである。李医師に対する中国共産党の不当な対応がソーシャルメディアで拡散したこともあり、同医師は生前から多くの中国国民の目には英雄として映っていた。2020年1月上旬、後に2019新型コロナウイルス急性呼吸器疾患(COVID-19)と命名された感染症の発生を内部告発した李医師は、「根拠のない虚偽情報を伝播した」として、武漢市公安局から懲戒書への署名を求められている。

サウスチャイナ・モーニング・ポスト紙の報道によると、2021年1月上旬、現在も見ることができる李医師の「Weibo(微博)」ページには、「先生は不当な扱いを受けた。私たちは決して忘れない」と書き込みされている。パンデミックによりもたらされた試練に対する不満や不安を多くの人々が投稿する李医師のWeiboページは、一部のユーザーから中国版「嘆きの壁」と呼ばれている。

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