中国の挑戦続く限り、米中対立は続く 激化の可能性も=日本のシンクタンク
東京のシンクタンク「日本国際問題研究所」は、年次報告となる『戦略年次報告2020』を2月5日に発表した。報告は、米中対立の根本原因である中国の軍事力増強と既成の国際秩序への挑戦が続く限り、米中の戦略的対立は一層激化する可能性もあると分析する。
報告は、昨年から始まった中共ウイルス(新型コロナ)の世界的な感染拡大の中で激化した米中対立と競争から、戦略的な重要性が高まるインド太平洋地域に焦点をあてる。
報告は、第二次世界大戦後は圧倒的な軍事力を持つ米国の一極集中を強めた国際安全保障体制が、中国の経済・軍事・技術力の発展を迎え、世界の戦略環境が変化したと指摘。強権的・高圧的な中国は、「一帯一路」構想やアジアインフラ投資銀行(AIIB)などを通じた経済支援策、そしてコロナ危機における需要の高い医療資源やワクチンを通じて影響力拡大を進めた。
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