Getty Images

<心の琴線>角度を変えれば、世界が広がる

ある日の午後の出来事だった。牧師は、翌日のミサのために必要なスピーチの原稿を書いていたが、傍らで末っ子の息子が騒いでいたため、全く集中することができなかった。仕方なく、牧師は近くにあった雑誌から世界地図のページを切り取り、さらにそのページを適当な大きさの紙切れにして箱の中に投げいれた。牧師は、「ばらばらになっている地図をちゃんとひとつに戻すことができたら、20円あげるよ」と息子に声をかけた。

 牧師は、きっと息子は午前中のほとんどの時間を、地図を元に戻すために費やすだろうと考えていた。しかし、息子は10分もたたないうちに、その地図を元に戻してしまった。驚いた牧師が、「どうやってこんなに早く地図を元に戻せたのか?」と尋ねると、息子は「簡単だよ、パパ。地図の裏側に人の写真があったんだ。僕はこの人を元に戻して、裏返ししただけ。この人を正しく戻せば、裏の世界地図も正しくなるでしょう」と説明した。

 牧師は微笑みながら、「明日のミサ用スピーチのタイトルは、これで決まった。『一人の人間が正しければ、彼の世界も正しい』だよ」と話し、息子に20円を渡した。

▶ 続きを読む
関連記事
身近な卵が、実は脳や筋肉、目の健康まで支える完全栄養食だと知っていますか?最新研究と実用的なコツから、卵の本当の力と毎日の取り入れ方を分かりやすく紹介します。
第一次世界大戦の塹壕で、敵同士の兵士が同じクリスマスの賛美歌を歌い、銃を置いた夜があった。天使ではなく、人の声が「地に平和あれ」を響かせた奇跡の物語
冬の冷えで不調を感じやすい季節に。中医学の考え方から、腎を温め心と脳を守る「にらラーメン」を解説。身近な食材でできる、冬の養生をやさしく学べる一編です。
抗うつ薬は本当に「脳の不調」を治しているのか。元FDA医師が、化学的不均衡説の限界と長期投薬のリスクを指摘し、うつ病治療を根本から見直す必要性を訴えます。
なぜ私たちは、気づかぬうちにネガティブ思考の渦に飲み込まれてしまうのか。脳科学と最新研究から「絶望のループ」の正体をひもとき、抜け出すための具体的なヒントを探ります。