(yakobusan Jakob Montrasio/Creative Commons)
【医学古今】

腎気不足と便秘症

一般的に腎臓は尿の生成と排泄に密接に関係していることが知られていますが、排便機能にも強く関係していることはあまり知られていません。漢方医学の理論では、「腎は二陰を主(つかさど)る」という説があり、つまり、腎臓は前陰の排尿と生殖機能に関与している以外に、後陰の排便機能に関与していると考えられています。

 実際、高齢者の便秘症はほとんど腎気不足に関わっています。そのため高齢者の便秘症に対して、単に下剤で対応すると効果が徐々に弱くなり、あるいはまったく効かなくなることもあります。しかも、長期間に多量の下剤を使用すれば体調に影響も出て、胃腸機能障害、冷え症、腹痛、便失禁などの病状を起こしたり、悪化させたりする場合もあります。

 この場合、補腎剤を合わせると、下剤の効果が表れやすくなり、少量の下剤で通便効果があります。補腎剤の「八味地黄丸」と緩下剤の「桂枝加芍薬大黄湯」は非常に良い組み合わせで、多くの高齢者の便秘症はこれによって改善しています。

▶ 続きを読む
関連記事
泥から名器へと生まれ変わる宋代磁器の製作過程を通して、人生の試練の意味を紐解く随想文。過酷な窯の烈火をくぐり抜けてこそ本物の輝きと気骨が宿るように、逆境こそが人を美しく磨き上げるのだと静かに語りかけます
目のトレーニングで視力は改善する? 特殊なレンズや点眼薬、目の運動など、視力を守るための新しい選択肢と、その効果を紹介します
一般的なアミノ酸サプリメントが膵臓がん治療の助けになる? 患者16人の初期試験で見えた生存期間と腸内環境の意外な関係を紹介します
宇宙はビッグバンから始まったのか。1600人超の物理学者への調査で見えてきた、宇宙の起源や暗黒物質をめぐる未解決の謎を紹介します
免疫は強さだけでなく、炎症を落ち着かせる力も大切。健やかな加齢を支える「オフスイッチ」の仕組みと、睡眠・食事・運動の役割を紹介します