中国の北東部・遼寧省は11日、電力不足が悪化するとし、上から2番目に高い第2級電力不足警報を出した。過去2週間で5回目となる。写真は9月29日、遼寧省瀋陽市で撮影(2021年 ロイター/Tingshu Wang)

中国東北部で電力不足深刻、当局が石炭増産要請も価格高騰

[北京 11日 ロイター] – 「中国のラストベルト(錆びついた工業地帯)」と呼ばれる東北3省の中で最大規模の遼寧省が11日、電力不足が悪化するとし、上から2番目に高い第2級電力不足警報を出した。過去2週間で5回目となる。

5ギガワット近くの電力が不足する可能性があるという。

同省は東北3省のうちで、最も経済規模が大きく、電力消費量も最大で9月中旬から広範な地域で電力不足に見舞われている。

現地では午前6時から節電命令が出されている。

同省では9月最後の3日間も第2級警報が発令され、数十万世帯が停電し、工場も操業停止を強いられた。

電力不足の背景には、石炭の不足と価格高騰があるが、アナリストは今冬の石炭生産が不足し、第4・四半期は電力消費を約12%削減する必要があると指摘している。

中国当局は先週、二大石炭生産地域の山西省と内モンゴル自治区に対し、生産の拡大と、遼寧省を含む東北地域の発電所への供給を優先するよう指示した。INGは、当局が供給不足の緩和に乗り出していると指摘した。

しかし、山西省では8日時点で約60の炭鉱が閉鎖され、大雨の影響で鉄道路線の寸断も起きている。

11日の原料炭先物は中心限月が過去最高値を更新、コークス先物も6週間ぶりの高値を更新した。

シティのアナリストは8日付のノートで「石炭火力発電所の70%超が赤字」と指摘した。

ムーディーズ・インベスターズ・サービスは「中国の電力制限は、経済への圧力を強める要因となり、2022年のGDPの重しとなる。生産とサプライチェーンの混乱が広がるため、GDP予測に対するリスクが高まる可能性がある」と述べた。

国家発展改革委員会(発改委)は11日、電力会社に石炭の備蓄拡大を呼び掛けていると述べた。

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