(鳥居哲也 / PIXTA)

漢方医が教える「病気予防と養生に役立つ、お茶の飲み方」

は長い歴史をもちます。

台湾でも、日本でも、おは非常に日常的な飲み物であり、その保健効果もよく知られています。ただ、なかには習慣的に「あまり健康的でない飲み方」をしている人もいるかもしれません。

「大カップ、氷入り、ガブ飲み」は体に良くありません

台湾ではよく見られる光景ですが、街の飲料店でテイクアウトする場合、例えば、緑やウーロン、ミルク紅などを大カップ(約700cc)に氷入りで買い、持ち歩きながら飲んでいます。

夏の暑い時期ならば、水分補給の意味でそれも無駄ではないかもしれませんが、実は、おの飲み方としてはあまり健康的ではなく、お薦めできない方法なのです。
にも多く含まれているポリフェノールは抗酸化物質であり、体の炎症を抑えるはたらきがある栄養物質です。漢方医学でも、おは体の「火(ほてり)」を除いて熱を下げるのに最も適した飲み物と見ています。漢方では、この「火」を百病の原因と考えています。

ところが、冷たいおを飲むと、脾胃(脾臓と胃)を損傷しやすくなります。冷たい飲料は、飲めば飲むほど喉が渇き、保健どころか肥満疲労などの症状を引き起こすこともあります。

は「寒性」に属する飲み物

昔の人は、おを飲むことを、そのまま体の養生に生かしました。ただ、そのためにはちょっとした「技術」と、おの温度への注意が必要です。

そのものは、その性質として寒性と温性の両面をもちますが、多くの場合は寒性に偏っています。明代の李時珍による『本草綱目』には、おについて「温かいを飲むと寒気のせいで火が下がる。熱いを飲むと、は火の勢いを利用して全身へ広がり、酒や食物の毒を解消する」と記されています。

つまり、おを飲むことで体の炎症は改善されるのですが、そのためには、冷たいおではなく、温かいおのほうが効果的なのです。

明医漢方連合診療所の主治医・葉啓民氏は、「おは確かに健康に良いのですが、その効果は飲む人の体質によって異なります」と言います。

若い人で、脾胃がつよい人は、おを多めに飲んでも大丈夫です。しかし、虚寒あるいは虚血体質の人は、おは控えめに飲むか、または飲まない方が良いと言えます。胃腸が弱くてお腹をこわしやすい人、胃痛を起こしやすい人も注意が必要です。

もう1つの注意点は、飲むおの量です。おを飲むには小さめのカップがいいでしょう。特に、緑や高山(軽焙煎のウーロン)などの寒性のおは、飲みすぎると胃を荒らすことがあります。

その点、紅は性質がマイルドで胃には比較的優しいですが、紅には凝集性があるため、「飲み過ぎると、胃に水がたまって消化吸収ができなくなります」と葉啓民氏は言います。

なお、良い葉を買うことができれば、自分で淹れて飲んだ方がいいですね。
市販されている安い飲料には、非常に安価で、どこから来たか知れない葉を使っているものもあるのです。

の相性は、人それぞれです

市販されているおは、緑、烏龍(ウーロン)、紅などが最も一般的です。
は、発酵せず、摘み取った後すぐに「殺青(釜炒り)」をします。(注:日本の緑は、釜炒りせず、葉を蒸すことで発酵が進むことを抑えています)

は性質が最も寒性であるため、普通の人が、養生のためのおとして常飲するのには適しません。しかし脾臓と胃が健康な人で、「火(ほてり)」が大きい場合は、適量の緑を飲むことで良い効果が得られます。

暑い夏には、緑を飲むことで少し暑さをしのげます。ただし、おは寒性に偏っていることが多いので、夏はおを飲むのに適した季節ですが、冬はお(特に緑)をあまり多く飲まないほうがいいのです。

ウーロンは、青とも呼ばれ、半発酵です。焙煎の深さによって、軽く煎った生(例、高山)、中程度に煎った半生熟(凍頂烏龍)、深く煎った熟(鉄観音)に分けられます。

煎りの浅い高山は、葉の新鮮で甘い口当たりを残していますが、寒性が強すぎて、飲みすぎると胃にダメージを与えます。

中焙煎の半熟熟は、焙煎時間が長いため、おがよりマイルドになっています。濃い焙煎の塾は、火気が強いため、体質が普段から熱に弱く、体が乾いており、のぼせやすい人にはあまり適していません。

「どのおが自分に適しているか分からない方は、中焙煎のウーロンからお試しいただくのが良いでしょう」と葉啓民氏はアドバイスします。

葉氏は、こうしたおは「年間を通じて飲むのに適している」とした上で、「胃に違和感がなければ、軽焙煎のウーロンや緑に移行してみてください」と言います。

は、完全発酵した葉で、性質は比較的マイルドです。身体が熱い人(ほてりがある人)は、紅でも飲む量に注意してください。
 

「老」は健康的なおです

一般的に、おは空腹時に飲むのに適しません。
特に緑や烏龍は、空腹時に飲むと胃痛を起こしますので注意が必要です。おが好きなイギリス人は、朝起きると熱い紅を飲むことがありますが、それは他のおに比べて紅の性質がマイルドで、胃にやさしいからです。

冬の寒い日には、温かい紅や、中・高焙煎のウーロンを飲むと良いでしょう。
による養生法の「技術」の一つとして、「老をつくって飲む」があります。
購入した新を長年貯蔵することにより、より養生効果のある老になるのです。一般的には、緑や烏龍など完全発酵していない葉を3年以上保存すると「老」になります。ただし、完全発酵した紅は老には向きません。

葉啓民氏は「私の曾祖父は何十斤もの葉を買い、それを長く保存しました。自分が90代になったときに、その味わい深い老を飲んだのです」と言います。葉は長く保存すればするほど、その性質が温和になり、薬用効果が出てくるのだそうです。

最後に葉氏は、「皆さんも緑やウーロンを多めに買って保存してみてください。年月をかけてゆっくり飲んでも、老ができますよ」とアドバイスしました。


(文・蘇冠米/翻訳編集・鳥飼聡)