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ご注意ください「薬効に影響する野菜もあります」

陳さん(男性)は、退行性関節炎のため人工股関節に交換しました。
その後、血栓予防のため抗凝固剤であるワルファリンを服用しながら、定期的に通院し採血検査を行っていました。
 

野菜スープが「薬効に影響することも」


陳さんの奥さんは非常によくご主人の世話をしており、毎朝手作りの特製スープを陳さんに飲ませていました。
その奥さんが2週間、孫の面倒を見るためにアメリカに行ったので、その間、陳さんは特製スープを飲むことを止めていました。

すると2週間後に、陳さんの右上肢から肩にかけて10cm四方のうっ血が現れました。急いで病院へ行き採血検査をしたところ、血液の凝固にかかる時間が5倍に延びていたのです。
尋常ではなかったため、そのまま入院しました。

人体が血液を凝固させるには血液凝固因子(凝固系)2、7、9、10が必要で、さらにそれらの因子はビタミンKを必要とします。

ワルファリンは、体内のビタミンKの再生を抑制するため抗凝固作用があり、深部静脈血栓、肺塞栓あるいは脳梗塞を予防することができます。

ところが食事などで、体外から多くのビタミンKを摂取すると、ワルファリンの抗凝固作用が鈍化し、血栓のリスクが増加します。

陳さんが毎朝飲んでいた栄養豊富な特製スープには、ビタミンKを多く含む濃緑色の野菜(パセリ、ほうれん草など)が入っていました。

そのため、特製スープを飲んでいた期間は、ワルファリンの効果が低下していたと考えられます。

逆に、特製スープを飲まなくなって、それまで多く摂っていたビタミンKの摂取量が急に減少すると、相対的にワルファリンの効果である抗凝固作用が突出して、出血やうっ血などの副作用が現れるのです。

この薬剤を服用している間、医師は患者を定期的に診察し、血液凝固の程度をモニターするために採血を行います。
その目的は、血液の凝固が適切な範囲になるよう、投薬量を調整するためです。
 

緑茶は飲めますが「医師の指導を受けましょう」


このように、ワルファリンの抗凝固作用はビタミンKを多く含む食品の影響を受けることが多いため、医師や栄養士の指導のもと、食事管理に留意しなければなりません。

食品中に含まれるビタミンK 1の量は、以下の通りです。

食品100g当たりのビタミンK 1含有量、単位はµg(マイクログラム)。
500µg以上:緑茶(茶葉)、大豆油、芽キャベツ、紅色藻類、キャベツ
200~500µg:ヒヨコマメ、サヤインゲン、イラクサ、海藻、ホウレンソウ、アルファルファ
101~200µg:レバー、卵黄、カラシナ、キャベツ、ブロッコリー、レタス、緑豆、大豆
51~100µg:エンバク、ふすま、鶏レバー、豚レバー、エンドウ豆、海藻、アオサ、クレソン
11~50µg:コーヒー豆 (粉)、ハチミツ、イチゴ、小麦粉、小麦胚芽、全粒粉、アスパラガス、ニンジン、青エンドウ、インゲンマメ、納豆、ジャガイモ、トマト、海苔
1~10µg:牛乳、ベニバナ油、パーム油、ココナッツ油、リンゴ、オレンジ、挽肉、ビート、キュウリ、キノコ

注意すべき点は、一部の食材は重量が重いわりに見た目の量が少ないため、つい食べ過ぎやすいことです。
特に、食べ過ぎになりがちなのは動物の肝臓(レバー)、アルファルファ、緑茶および各種の緑色の野菜です。

食事から摂取するビタミンKが、服用したワルファリンに影響しないようにするには、できるだけ食事内容と摂取量を一定にすることが最も大切です。
特にビタミンKを多く含む食品は、ワルファリンの治療効果を維持するとともに、副作用を防ぐことができます。

では、ワルファリンを服用している間に、緑茶を飲むことができるでしょうか。
実は、緑茶にもビタミンKが含まれています。

緑茶自体を禁止する必要はありませんが、緑茶を日常的に飲む習慣がある場合、医師にワルファリンの抗凝固効果をモニターしてもらって、投与する薬の量を調整する必要があるかどうか評価しなければなりません。

ワルファリンの投与量を安定的にコントロールした後、飲む緑茶もできるだけ定量を維持すれば、薬の効果に影響することは避けられます。
(文・花蓮慈濟醫院藥學部團隊/翻訳編集・鳥飼聡)