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不眠解消のカギは「不眠で悩まないこと」

不眠症は、現代人によく見られる症状です。米疾病予防管理センター(CDC)の統計によると、全米の不眠症患者数は年々上昇する傾向にあると言います。

ベッドに横になっても眠れないのは、なぜ?

健康な成人の睡眠時間は、平均すると約7~9時間と言われています。正常な睡眠は大きく分けて2つの段階に分けられ、始めのノンレム睡眠(深い眠り)から最後のレム睡眠(浅い眠り)まで2つの段階が生理学的に機能しており、どちらも欠かせない眠りです。

ところが、そのシステムにちょっとした間違いがあると、不眠になります。

不眠の原因はいろいろあり、たとえばスマートフォンの画面から発せられるブルーライトが視覚に影響して、寝つきにくくなる場合もあります。

そのほか、カフェインを含む飲料や各種の薬(甲状腺機能亢進症、肥満、心不全などの薬)の服用、消化しにくい食べ物を食べたときなども、一過性ではありますが、床についても眠れなくなります。

こうした不眠のタイプは、以下のように大きく3つに分けられます。

1、 慢性不眠症
3カ月以上にわたり、1週間に3日以上の頻度で不眠の状態が続く場合は慢性不眠症です。仕事や学習など、日中の生活に支障を来しています。

2、 一過性の不眠症
症状の期間が3カ月未満で、明らかな原因(失恋や仕事上のストレスなど)がある場合は、一過性の不眠症です。

3、 その他の不眠症
上記の2つのタイプに分類できないケースもあります。

不眠症を治療する2つの方法

不眠症の治療法には大きく分けて、心理治療と薬物治療の2種類があります。

一、心理治療
薬物を使用する前に、まず選択するべき治療法は心理治療です。

その方法は、不眠症を誘発する原因を見つけることを第一とします。誘発因子を解決した後には、多くの場合、不眠症の悩みが解消(あるいは軽減)されます。

現在、注目されている不眠症の治療法として「認知行動療法」があります。

従来、慢性不眠症に対しては睡眠薬の使用が主な方法でしたが、この認知行動療法は、人の物事の受けとめ方(認知)と対処の仕方(行動)に焦点をあてた治療法です。

この療法は、先行して行われていた精神不安定やうつ病の治療だけでなく、不眠症の患者に対しても近年その有効性が知られるようになっています。

その要点を挙げると、一つには「行動」の一環として、多面的な行動療法を試みることです。例えば、「日光をよく浴びる」「規則的で、適度な運動」「暗く静かな寝室環境を整える」「睡眠日記をつけ、短い時間でも効率のよい睡眠を得られるよう訓練する」「心身をリラックスする各種の方法を取り入れる」などです。

一方「認知」からのアプローチとして、次のようなものがあります。

例えば、患者が「7時間以上寝なければならない」と思いこむあまり、その反作用として「かえって寝られない」という不眠の悪循環が起きている場合には、その認識(認知)の部分に助言者が有機的に介入します。

そうして「7時間寝ても昼間に支障がでることもある」「人間は5時間寝れば十分である」など、障害となっている根本的な考え方を変えさせることで、患者を問題解決へと導く方法です。

二、薬物治療
認知行動療法でも治療効果がよくない場合、医師の指導のもと適切に薬物を用いて、病状の進行を遅らせたり、状況の改善を試みることもあります。

不眠症を治療する薬物は、睡眠薬のほかに、鎮静抗うつ剤、オレキシン拮抗剤、メラトニン作動剤、抗ヒスタミン剤、抗精神病薬などを含みます。

軽度の不眠症患者で、誘発因子を是正できない場合は、向精神薬であるベンゾジアゼピン系薬剤などの軽い睡眠薬が処方されることがあります。この薬の利点は、入眠までの時間を短縮して、睡眠時間を延長することです。ただし、薬に依存して慢性的な不眠症になることがないよう、定期的に医師の診察と指導を受けることが肝要です。

そのほか、オレキシン受容体拮抗薬は、脳内の神経伝達物質であるオレキシンを阻害して脳の活動を暫時停止させ、睡眠時間を延長させます。

アレルギー性鼻炎による不眠には、抗ヒスタミン剤がよく処方されます。
 

薬に頼らない解決方法を見つけましょう

「薬は七分の効、三分の毒」とも言います。

睡眠薬も同様で、使用法は必ず正しくなければなりません。また、睡眠薬の長期使用は、決して好ましいことではなく、根本的な治療にならないことを認識すべきです。

睡眠薬の使用によって起こり得る副作用には、めまい、日中の眠気、記憶力の低下、呼吸の抑制などがあります。鎮静剤を長期服用しても依存性が生じることがあるように、ベンゾジアゼピン系薬剤は依存リスクが高いとされています。

不眠症の患者は、平日でも規則的な運動をすべきです。また、夕食は軽めにし、夜更かしをせず、就寝の3時間前に濃いお茶やコーヒー、あるいは刺激性飲料を飲まないことなどは、すべて不眠症を治療する重要な要素になります。

(文・李永勝/翻訳編集・鳥飼聡)