誰もが口にする食物や水、あるいは空気中にもマイクロプラスチックによる汚染が進んでいます。研究者は、それらが人の細胞に害を与えると指摘しています。(Shutterstock)

新研究:「人の細胞を脅かす」マイクロプラスチックによる全地球的汚染

日本で、プラスチック製買い物袋いわゆる「レジ袋」が有料化されたのは一昨年、2020年7月1日からでした。

海洋プラスチック汚染の問題は、それ以前から国際的な課題として認識されていました。

その中にあって日本も「取り組む姿勢を示すこと」が求められ、国を挙げてのレジ袋有料化に至ったというのが実情です。

それも結構なことでしょう。しかし、果たして「店先におけるレジ袋の有料化」が本当に海洋汚染の改善につながっているのかという核心的疑問については、その現状報告もふくめて、寡聞にして知りません。

プラスチックは今日、私たちの日常生活に欠かせない素材となっています。

一方、その砕片であるマイクロプラスチックは、誰もが口にする食物や水、あるいは空気中に放出されて人体に害を与えるとともに、自然の生態系も脅かしていることが各種の研究により明らかになっています。

今、世界中の人々が、マイクロプラスチック汚染にさらされているのです。

2020年末の研究では、エベレストの雪と湧水のサンプルからマイクロプラスチックが検出されました。世界で最も深いマリアナ海溝の深海水からも、アマゾン川の汚泥からもマイクロプラスチックが発見されたといいます。

自然界だけでなく、水道水や、市販されているペットボトルの水にもマイクロプラスチック汚染が、すでに相当及んでいることが報告されています。

英国の大手紙『ガーディアン』が2017年に掲載した記事によると、ある調査で10数カ国の水道水をサンプル検査したところ、米国の水道水が、プラスチック繊維の含有量が最も高いことが判明したと言います。

また、ニューヨーク州立大学フレドニア校化学科の研究者は、9カ国より11銘柄のペットボトル入りの水を購入して検査したところ、その93%からマイクロプラスチックを検出しています。

研究者は「プラスチックは粉砕されてマイクロプラスチックになり、さらに微粒子化してナノプラスチックになります。これらは有害なプラスチックであり、小さくなればなるほど生物の腸に入りやすく、生物の体内を循環します」と指摘しています。

そのほか、「衣服のプラスチックが皮膚から吸収される」「哺乳瓶のプラスチックが人工乳に溶け出している」など、各方面からの懸念される調査報告は枚挙に暇がありません。
 

環境に浸透したるプラスチック汚染により、誰もが生まれてからずっとマイクロプラスチックに毒されています。(Shutterstock)


2021年末に報告されたある研究は、驚くべき結果を示しました。

研究者が、大人の糞尿の10倍の濃度をもつポリエチレンテレフタレート(ポリエチレンの1種)の成分を新生児の胎便から発見しました。

胎便は出生後に初めて排泄される便であるため、母親の胎盤を通じて胎児に送られたものであることが推測されます。

新型コロナウイルスの世界的な感染拡大により、市民や医療関係者が大量に消費するマスクや手袋、各種の防護用品にもプラスチックが使われています。

学術誌『米国科学アカデミー紀要』に発表された最近の研究によると、今回のパンデミック期間中に使い捨てられた医療用品により、世界で800万トン以上のプラスチックゴミが増加し、さらに「そのうち2万5千トン以上がすでに海洋に入った」と言います。

同研究は、医療廃棄物の管理状況を改善することで、海洋環境を保護するよう求めています。なぜなら、これらの海洋汚染は、最終的に人間の食物に影響してくるからです。

なお同研究は、「アジアで報告されている新型コロナウイルス感染者数は世界全体の30%に過ぎないが、アジア地域から出たプラスチックごみは世界の72%を占めている」という不思議な現象があったことも伝えています。

(翻訳編集・鳥飼聡)