3月8日、欧州連合(EU)の執行機関である欧州委員会はロシア産天然ガスの依存度を年内に約6割低下させ、「2030年よりかなり前に」 依存をゼロにする計画を発表した。写真は2021年5月、ブリュッセルで撮影(2022年 ロイター/Yves Herman)

EU、ロシアのエネルギー依存脱却へ 10年以内に「ゼロ」

[ブリュッセル 8日 ロイター] – 欧州連合(EU)の執行機関である欧州委員会は8日、ロシア産天然ガスの依存度を年内に約6割低下させ、「2030年よりかなり前に」 依存をゼロにする計画を発表した。

欧州委は代替の供給源への切り替えと、クリーンエネルギーの利用拡大を急ぐことで、ロシアへの依存低下を目指すと表明。具体的な実施は加盟各国政府の責任になるとみられる。

EUは現在、ロシアから年間1550億立方メートルの天然ガス・液化天然ガス(LNG)を輸入。欧州委は、米国やカタールなどの国からの輸入で、今年はこの3分の1以上に当たる600億立方メートルが代替できると試算。30年までにはバイオメタンと水素の利用拡大で、一段の代替の進展が可能とした。

また、風力発電と太陽光発電の拡充で今年は200億立方メートルの天然ガス需要が代替できると試算。30年までに発電能力を3倍に高めれば、毎年1700億立方メートルの天然ガス需要が削減できるとした。

EUは現在、天然ガス需要の約40%をロシアに依存。ロシアがウクライナ侵攻を開始した後も、今のところはロシアからの欧州向けエネルギー供給は安定的に続いている。

ただ一部アナリストは、ロシアからの供給が長期にわたり途絶えた場合、工場が操業停止に追い込まれるなどの事態になり、欧州経済が打撃を受けるとの見方を示している。

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