情熱的天才の衝撃的長編小説――『嵐が丘』(一)
世界中に知れ渡っている名作『ジェーン・エア』はブロンテ3姉妹の長姉、シャーロット・ブロンテの代表作です。しかし、その妹のエミリー・ブロンテ の『嵐が丘』に対する世間の評価は「驚き」「衝撃」の言葉しかありません。著者は並々ならぬ情熱で、この小説に強烈な感情と悲哀を持たせました。大胆な想像力の産物であるこの小説に、衝撃を感じない読者はいないでしょう。
エミリー・ブロンテは19世紀前半に活躍した女性作家として、生涯この一作品しか書きませんでした。当時、女性作家に対する評価は低く、エミリーは男とも女ともとれるような「エリス・ベル」という名でこの作品を出版しました。しかし、『嵐が丘』は当時の伝統的な道徳観に挑戦しているとして、長い間、社会に認められず、それどころか、批判や非難を浴びました。
それから1世紀ほど経過し、読者や文学界はようやく、エミリーが「ブロンテ3姉妹の中で最も偉大な天才」であり、「時代を超えた才女」であると褒め称えるようになり、そして、『嵐が丘』が空前絶後の偉大な傑作であると高く評価したのです。この小説の魅力はまだ完全に解き明かされておらず、現在もなお、多くの学者に探究、解読、論争されています。
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