若い世代にも、老眼の症状が多く現れるようになってきました。それは、目だけでなく、体の老化も示唆しているかもしれません。(Shutterstock)

若い人にも多い「老眼」 ツボ押しと食事で改善できます

体の老化現象の一つに、老眼の症状があります。

叡鳴堂漢方クリニックの呉宛容院長によると、近年では30代の人でも老眼と同じ症状を訴える人が増えてきていると言います。

物は、目から離して、遠くに持っていかないとはっきり見えません。そのほかにも、一時的なかすみ目や眼球の張り、痛みなども老眼に関連する症状かもしれません。

老眼の初期には、軽くまばたきをするだけで眼球の調節機能がはたらいて、正常に戻ります。ところが後期になると、近くのものが見えにくくなり、さらには眉間に力が入り、眼圧が強くなって、頭痛や吐き気さえ覚えるようになります。

一般的に老眼は、40歳以降になって徐々に増えます。

ところが近年、呉宛容氏の外来では、30代の若い患者も多くなってきているそうです。

このような若い患者は、目の問題のほかに、顔色が暗く黄色い、抜け毛あるいは白髪が多い、髪が乾燥しているなどの症状を示す場合が多いと言います。呉宛容氏は、「若い人に老眼が早く現れることは、体全体の老化が早まっていることを示している」と指摘します。

漢方医学によると、五臓六腑の精気が目に集まりますが、目が弱まって退化すると、これらの臓腑の血気も影響を受けます。特に、肝臓は目と密接な関係がありますので、肝臓の血液が不足すると、目が見えにくくなるだけでなく、顔色や髪にも影響を与えます。

呉宛容氏によると、「現代人はスマホやパソコンを使いすぎる上、仕事上のストレスも多い。そのため肝臓の調節機能が低下して、早期老化につながる」と言います。

漢方医学には「肝腎相同」の理論があります。これは、肝臓と腎臓は密接に関係しており「肝血の旺盛が腎精に化する」と考えますので、もしも肝血が不足すれば腎精の損失も加速されることになります。

 

そのため漢方では、老眼の治療にあたり、肝臓、腎臓の両方の状態を改善することを目指します。

スマホやパソコンを過度に使い、さらに仕事のストレスが加わると、目の老化も早まります。(Shutterstock)

目を30分使うごとに、5~10分ほど休ませてください。

休憩時は、1分間目を閉じたまま、眼球を上下左右に動かして筋肉を弛緩させます。

また休憩のときには、目の周囲のツボをマッサージすることも有効です。

マッサージする穴(ツボ)は、晴明穴、攢竹穴、魚腰穴、糸竹空穴、瞳子髎穴、四白穴などです。

両手の指関節でこれら6つのツボを押し、それぞれ5~10秒ほどゆっくり回転させます。休憩時に、これを3セット押してみてください。ツボの名前と場所を覚えていなくても、指関節で眼窩骨の周りを押して心地よく感じれば、両目のリラックスに役立ちます。

目の周りのツボには、晴明穴、攢竹穴、魚腰穴、糸竹空穴、瞳子髎穴、四白穴などがあります。(健康1+1/大紀元)

また、常に良い姿勢を保つことは、目の健康にも重要です。

夜は10~11時の間には就寝できるようにしてください。

呉宛容氏によると、目の血気循環の多くは肝経と胆経によって管理されています。この2つの経絡は夜11時から3時の間に循環していますので、この時間に熟睡すると目の修復には非常に有効なのです。

そのため、不眠症は早期に解消すべきであり、そうしないと老化が早まる可能性があるので注意が必要です。

漢方がお薦めする老眼の食事療法としては、主に腎水(じんすい、腎臓の精)不足を補うため、黒豆、黒ゴマ、桑の実、ブルーベリー、胡桃などの「黒い食物」を多く食べることです。それらは腎臓に入り、腎臓の気を養います。

そのほか、大豆、緑色野菜、ニンジン、カボチャ、トマトなど、ビタミンA、Bを含む食品も多く食べてください。

呉宛容氏によると、「現代人は夜更かしをしたり、目を酷使する傾向が強いため、腎臓の陰虚(腎臓が乾いている)体質が多く、陰液が不足している」と指摘します。

そのため同氏は、上記の食品に加えて、ヤマイモ、黒キクラゲ、白キクラゲなどの陰性の食品も多く食べることを薦めます。これらの食品は目の乾燥や疲労を改善するとともに、体の老化を遅らせることができます。

(翻訳編集・鳥飼聡)

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