『レ・ミゼラブル』――フランス文学の最高峰(一)

レ・ミゼラブル』はヴィクトル・ユーゴーの最高傑作で、フランス文学におけるロマン主義と現実主義の潮流の最高峰と称えられています。ユーゴーは1831年に『ノートルダム・ド・パリ』を出版しましたが、1828年からすでに『レ・ミゼラブル』の構想を練り始め、1862年にようやく完成するまで、30年以上もかかった大作です。

『レ・ミゼラブル』は文学界において、内容が最も複雑で、多くのテーマを結合させた大著です。19世紀初期、1793年の革命の最高潮から1832年の「六月暴動」まで、半世紀にわたる歴史の中のフランスの社会変動と、各階層の人々の人生と葛藤などを描いた社会派小説でもあります。人間悲劇でありながらも、各人物の喜怒哀楽や人生の波乱万丈、博愛の心なども描いているため、人間喜劇でもあるのです。

この大河小説は5つの部分から成り立っており、多くの人物と彼らにまつわる感情の葛藤と愛が綴られています。

主人公ジャン・ヴァルジャンは姉に育てられ、成人してから安い給料で姉とその7人の子どもを養い、非常に貧しい生活を送っていました。ある日、子どもたちのために1本のパンを盗んだところ、捕まえられて5年の刑を言い渡されましたが、その間、4度も脱獄を図ったため、19年の刑に延長されてしまい、人生において大事な時期を刑務所の中で過ごすことになりました。

不公平な待遇と苦しい生活により、ヴァルジャンは人間不信となり、刑務所の中で徐々に世をはかなむようになったのです。釈放された後、一銭もないヴァルジャンはミリエル司教に引き取られましたが、幼い頃から生計に苦しみ、その後、刑務所で苦役を強いられたヴァルジャンは、司教の家にある銀製の食器を見て、思わずよこしまな考えが働き、盗んだのです。

しかし、すぐに警察官に捕まえられ、ともに司教の家に行きました。ヴァルジャンと警察官と銀製の食器を見た司教は瞬時に事情を理解し、話しの向きを変えました。「ヴァルジャンではないか!再び会えてうれしいよ!セットものだから、あそこの銀製の燭台と一緒にプレゼントすると言ったのに、燭台を忘れていくなんて」司教の言葉がヴァルジャンを救い、ヴァルジャンも司教の寛大な心と優しさに感動し、更生することを決心したのです。
(つづく)

(翻訳編集・天野秀)

江宇応