2021年11月16日、報道陣に答えるボブ・メネンデス上院議員 (Photo by Drew Angerer/Getty Images)

米有力議員、台湾への支援を拡大する法案を提出 4年間で約45億ドルの軍事支援

米上院の有力議員2人が17日、超党派で台湾への支援を拡大する法案を提出していたことが上院外交委員会の発表で明らかになった。今後4年間で約45億ドルの軍事支援を提供するほか、台湾の領土保全に干渉した場合などに中国に広範な経済制裁を課すといった内容が盛り込まれた。

「台湾政策法案」はボブ・メネンデス上院外交委員会委員長とリンゼー・グラハム上院議員が提出した。1979年に成立した台湾関係法以降、米国の対台湾政策を最も包括的な再構築になるとし、台湾の国際機関への参加や武器調達の支援を目指す。中国の魏鳳和国防相はアジア安全保障会議で「台湾へ戦争といとわない」と発言しており、米国は危機感を示した形だ。

法案には、正式な外交関係のない台湾の防衛を支援する目的で、毎年の戦争準備金の備蓄額を2億ドルから5億ドルに増額するほか、北大西洋条約機構(NATO)非加盟の主要同盟国として台湾を指定することも含まれる。

メネンデス氏は声明で「中国の軍事、経済、外交上の脅威といじめに直面する台湾と、インド太平洋で利益と価値を共有するすべての人々と共に立ち上がるという、米国の絶対的な決意を画期的に示すものだ」と述べた。

グラハム氏は「両国の軍事・経済関係をここ数十年で最大に拡大するものだ」と法案の意義を強調。「中国の脅威と台湾への侵略に直面し、弱腰を見せれば、危険は増すばかりだ」とも付け加えた。ロイター通信によると、上院での審議に向けて、来週にも委員会採決に持ち込みたい意向だという。

法案の提出を受けて、台湾外交部の欧江安報道官は米国の超党派におけるコンセンサスと強い支持を示す重要なサインだとし、感謝の意を表した。

関連記事
[東京 23日 ロイター] – 米インド太平洋軍のアキリーノ司令官は23日、中国経済が「失敗」しつ […]
笹川平和財団は台湾有事を想定した机上演習を実施し、その報告書を3月末に公表した。報告書によると、もし米中が台湾をめぐり軍事衝突した場合、日米台すべてに甚大な被害が及ぶことが明らかになった。
台湾国防部は3日、中国軍機30機と海軍の艦船9隻が2日朝から3日朝にかけて、台湾周辺の空海域で確認されたと発表した。一部の軍用機は台湾海峡の中間線を越え、台湾の防空識別圏(ADIZ)に侵入した。
ロシアによるウクライナ戦争が続く一方、中国共産党による台湾有事のリスクが高まっている。世界最大の軍事力を備える米国は、力の配分という難題に直面する。専門家の2人は「米国はウクライナより台湾を優先すべき」を論題にした安全保障政策をめぐる議論を通じて、米国の課題をあぶり出した。
台湾国家安全局の蔡明彥・局長は11日、中国が平均して7─10日おきに台湾付近で「共同戦闘準備哨戒」を行っていると指摘、中国軍が台湾付近での演習を「常態化」しようとしていると述べた。