【古典の味わい】貞観政要 18
(前回の上書に続いて)同じ月のうちに、魏徴は再び文書をしたため太宗に申し上げた。
「臣、魏徴は、このような話を聞いたことがあります。木を高く育てるためには、その根を堅固にしなければならない。水の流れを遠くまで行き届かせるには、その水源を深く掘って川の水が枯れないようにしなければならない、と。それと同様に、国家を安らかに永続させるには、必ず徳義を積まなければならないのです」
「わたくしは、愚かな臣下ではございますが、徳義なくして国家安泰はなし得ないことを知っております。もちろん、明哲なる陛下は、それをよくご存知のことと存じます。もしも天子が、その位に居りながら徳を厚くしようとなさらないならば、それは根を切って木を茂らせることを望み、源泉を塞いで水を遠くまで届かせようと欲するようなものです」
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