認知症を引き起こすアルツハイマー病は、脳細胞を守る天然食品で予防できます。(Shutterstock)

認知症の予防と改善のために「この天然食品が役に立ちます」(3)

(前稿より続く)

天然の抗酸化栄養素をとる

健康的な食物から抗酸化栄養素を直接摂取することは、酸化ストレスを緩和し、脳細胞を保護するのに役立ちます。抗酸化栄養素の欠乏は、多くの慢性疾患および神経変性疾患の原因の1つでもあります。

人の体には、抗酸化物質を生成することで酸化ストレスに対抗できるいくつかのメカニズムがあります。このように、体内で自然に作られる抗酸化物質を「内因性抗酸化物質」と呼びます。

これに対し「外因性抗酸化物質」と呼ばれるものは、体内では産生されない化合物であり、主に食物によって補われる抗酸化栄養素のことです。これらの外因性抗酸化物質には、ビタミンE、ビタミンC、カロテノイド、およびフラボノイドアントシアニン)などがあります。

食物から摂取する抗酸化物質には、ビタミンE、ビタミンC、カロテノイド、フラボノイド(アントシアニン)などがあり、フリーラジカルによる脳への悪影響に対抗します。(健康1+1/大紀元)

「ひと握りのナッツ」と覚えましょう

ビタミンEの豊富な食物にはナッツ類、オリーブ油、濃緑色の野菜、鶏卵などがあります。

ビタミンEの摂取について、バーナード氏は、「サプリメントを服用すると、ビタミンEだけしか得られない。ひと握りのナッツ類を毎日食べるほうが、ビタミンEを含む栄養素が複合的に摂取できるので効果的だ」と言います。

ビタミンCは、ビタミンEと相乗的に作用してフリーラジカルを阻害する水溶性ビタミンです。

ビタミンCを含む食物には、柑橘類などの酸性果物、緑色野菜、トマトなどがあります。ただし、ビタミンCは不安定な分子であるため、加熱調理による損失が大きいという欠点もあります。生で食べられる果物などは、十分に洗ってから生で食べるのが最善です。

サプリよりも食事が一番

βカロテン(ベータカロテン)はカロテノイドの一種です。カロテノイドは活性型ビタミンAに変換されるため、ビタミン前駆体と考えられています。

βカロテンは視力の維持に不可欠であるだけでなく、フリーラジカルを死滅させる強力な抗酸化物質でもあります。

しかし、βカロテンをサプリメントだけで摂取することは、体に悪影響を及ぼす恐れがありますので、お薦めできません。「過剰に摂取すると肺がんなどのリスクが高まる」という指摘も一部にはあります。

もちろん日常の食物で補えば、こうした心配はありません。βカロテンは、ニンジン、サツマイモ、メロン、カボチャなどのオレンジ色の野菜や果物、濃緑色の野菜に含まれています。

βカロテンには強力な抗酸化作用があるため、脳内のβアミロイドを減少させることで、アルツハイマー病の予防と改善に役立ちます。

アントシアニンは「強力な味方」

フラボノイドは、ほとんどの植物に存在する化合物です。

既知のフラボノイドは4000種類以上あり、それらの多くは抗酸化作用をもちます。フラボノイドの主な供給源には緑茶、ブドウ、リンゴ、ベリー類、タマネギ、ブロッコリー、ウコンなどがあります。

フラボノイドのなかでも特筆すべきはアントシアニンの効果で、抗酸化作用が非常に強く、脳細胞を効率的に保護します。アントシアニンは、ブルーベリーやサクランボなどの青紫色や赤色の野菜や果物に多く含まれています。

神経科学の専門誌に掲載されたイタリアの科学者による研究は、アントシアニンがβアミロイドの生成を妨げていることを証明しています。同研究は、アントシアニンが神経を保護する特性をもつ植物性化合物として、アルツハイマー病の治療に有効であることを示唆しています。

(完)

(翻訳編集・鳥飼聡)

 

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