中国・広東省東莞市のオフィスでパソコンを使うハッキンググループのメンバー=2020年8月4日(Nicolas Asfouri/AFP via Getty Images)

ハッカー、中国人10億人分の情報を「2700万円で売る」 警察から入手

中国上海市警察のデータベースにハッキングし、国民10億人分の個人情報を入手したと主張するハッカーはこのほどネット上で、これらの情報を日本円にして約2700万円で売却すると投稿した。

23テラバイト(TB)を超えるデータには、10億人の「氏名、性別、年齢、出生地住所、ID番号、携帯電話番号、ネットショッピングや旅行などの決済記録、個人の政治的立場、銀行の信用記録、個人写真」などの情報が含まれている。また、警察への通報履歴、通報者の氏名と電話番号、通報者による詳しい状況説明など数十億件の犯罪や事件記録もあるという。

「ChinaDan」と名乗るハッカーは先月30日、これらのデータを「10ビットコイン(約2700万円)で売る」とハッカーフォーラム「Breach Forums」に投稿した。

この投稿はSNS上で拡散された後、ネットユーザーの間で真偽などを巡り議論が交わされた。事実であれば中国史上最大のデータ漏えいになり得る。

4日の時点では、上海市当局は同投稿に関するコメントを発表していない。中国のネット検閲当局は、SNS上の関連投稿や「データ漏えい」とのハッシュタグをブロックした。

中国のネット事情を知る常氏は4日、米政府系放送局ラジオ・フリー・アジア(RFA)の取材に対し、「上海市警察がデータ保存に使用するアリババクラウドというクラウドサービスにセキュリティー上のリスクがあり、漏えいにつながった」とし、「データ漏えいは本物だ」と話した。

一部のネットユーザーは、膨大な量のデータが10ビットコインで売られるのは「安すぎる」と指摘した。また「中国の人口は、やはり10億人しかいないのか」との声も寄せられた。

時事評論家の李昂氏は、11月開催予定の中国共産党第20回党大会の前に大規模なデータ漏えいが発生したことについて、「(ハッカーには)何らかの政治的意図があるのではないか」とした。

(翻訳編集・李凌)

 

関連記事
米国とその同盟・提携諸国が共同で、中国共産主義政権主導の世界的なハッキング活動を強く非難し、ハッカーの手口などを公開するなどして警戒を呼びかけると共に対抗措置を講じる構えを表明した。
米国の前大統領副補佐官(国家安全保障担当)、マシュー・ポッティンジャー氏は上院委員会の公聴会で、中国当局は、米国の成人の情報ファイルを作成するためにデータを窃盗していると警鐘を鳴らしている。中国側はこれらのファイルを使って、米国民や政治家を脅迫し、米国内での影響力拡大を狙っているという。
米サイバーセキュリティ企業レコーテッド・フューチャー社の研究部門Insikt Groupは21日、中国当局と連携していると思われるハッカー集団がインドの政府機関などに不正侵入したとの報告書を発表した。同社は、中国はインドに対する戦略的関心が高まっていると警鐘を鳴らした。
中国との関係が疑われるハッカーグループが世界中のモバイルネットワークに侵入し、通信事業者から通話記録やテキストメッセージなどを取得したと米サイバーセキュリティ企業が明かした。
米連邦捜査局(FBI)は13日、公式メールアカウントがハッキング被害を受け、偽メールが大量に送られたと発表した。関係する機器は既にオフラインにしたと説明し、受け取った人に注意を呼びかけた。