前大統領副補佐官、中国は米成人8割の個人情報を完全窃盗「情報収集が新たなレベルに」

2021/08/10
更新: 2021/08/10

米国の前大統領副補佐官(国家安全保障担当)、マシュー・ポッティンジャー氏は上院委員会の公聴会で、中国当局は、米国の成人の情報ファイルを作成するためにデータを窃盗していると警鐘を鳴らしている。中国側はこれらのファイルを使って、米国民や政治家を脅迫し、米国内での影響力拡大を狙っているという。

トランプ前大統領の副補佐官だったポッティンジャー氏は4日、上院の情報委員会で開催された公聴会に出席した。同氏は、中国当局はハッキングなどの違法手段で米国民の機密情報を収集しているとした。

同氏は、「人々の個人情報を集めることは、レーニン主義政権の特徴だった。しかし、中国当局は今、5G(次世代移動通信システム)ネットワークの使用を含めて、グローバル・デジタルネットワークへの浸透を通じて、情報収集を新たなレベルに引き上げた」 と述べた。 

ポッティンジャー氏は、中国当局は情報を集め、「今、世界各国の何百万人もの外国人市民のファイルを作成している。これらの資料を使って、当局は各国の政府に影響を与え、あるいは各国の国民を攻撃し、脅迫し、恐喝し、侮辱し、最終的には服従させることを狙っている」とした。また、中国当局は目的を達成するために外国人に奨励金を与え、機嫌をとることもあるという。

同氏はさらに、「中国当局が盗んだ機密データは、米国の成人一人ひとりや多くの子供たちの関係書類を作成するのに十分だ」と示した。

中国当局は長年にわたって、西側諸国に対して軍事的・地政学的優位に立つために、米国の知的財産権や技術機密を盗用してきた。7月に米IT大手マイクロソフト社をはじめ、中国当局はこれまで、米企業や研究機関へ大規模なサイバー攻撃を仕掛けてきた。

同公聴会では、国家防諜安全保障センター(NCSC)の元長官であるウィリアム・エバニナ(William Evanina)氏も発言した。

エバニナ氏は、中国当局は「国全体を対象とするアプローチ」を使って、「利用し、影響を与え、浸透しようとしている。さらに、あらゆる場所から米国の成果を盗もうとしている」と話した。

同氏は、「米国の成人の80%の個人情報は完全に中国共産党に盗まれ、他の20%の個人データの大半も盗まれたと推測する」とした。

バイデン政権は、中国当局がマイクロソフト社に対して国家ぐるみのサイバー攻撃を仕掛けたことに厳しい批判を行った。しかし、その批判には中国の外交官の国外追放や制裁などの対抗措置を伴わなかった。

いっぽう、ポッティンジャー氏は、中国共産党政権による統一戦線工作についても警告を発した。統一戦線工作は、世界各国の政府や米国内の政策立案者に影響を与えることを目的にしている。

「9500万人の中国共産党員は、さまざまな部門を持つ統一戦線工作に参加しなければならない。中国共産党中央統一戦線部だけでも、米国務省に所属する外交官の数の3倍にあたる幹部がいる」

(記者・Jack Phillips、翻訳編集・張哲)

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