各種の腸内疾患が、「脳の霧」に関連しています。(Shutterstock)

コロナ後遺症「脳の霧」 治療のカギは腸の改善にある(2)

(前稿より続く)

「健康の基本」に帰ることが大切

では、どのような方法で「脳の霧」を改善、あるいは予防することができるでしょうか。

そのカギは、やはり健康の基本である「適切な食事」「有酸素運動」「良好な生活習慣」の3つです。

適切な食事として薦められる一例を挙げると、ダイエット食としてもよく話題に上がる、地中海沿岸の伝統的な食事である「地中海食」です。

多種類の野菜や果物、ナッツ類、豆類、全粒穀物、魚介、乳製品、オリーブオイルなどの自然食材をふんだんに使う地中海食は、まさに健康的な食事の理想と言えるでしょう。

ただし、地中海地方の食事にはワインがつきものですが、「脳の霧」などの症状改善を目的にした場合、たとえ健康的な地中海食であっても飲酒はお薦めできません。

飲酒によるアルコール摂取が過剰になると、脳内の海馬の萎縮を引き起こし、さらなる記憶障害を招くことがあります。今は、お酒は控えてください。

過度な飲酒は海馬の萎縮を引き起こし、記憶障害を招くことがあります。(Shutterstock)

サプリよりも「食事で摂る」

なお、地中海食には穀類と牛乳も含まれますが、胃腸が弱っている時は、くれぐれも食べ過ぎないようにしてください。

たとえ全粒穀物であっても、糖分の過剰摂取は避けるべきです。また、乳糖不耐症の人は、牛乳や乳製品を控えることで腸に原因する問題を減らすことができます。

ただし、ヨーグルトなどの発酵乳製品は、乳糖不耐症を引き起こしにくく、良質なプロバイオティクスも含まれています。

サプリメントの服用ではなく、自然の食物からのプロバイオティクス摂取は、適量でもあり、安全な方法ですので、もちろんこちらは薦められます。

有酸素運動で腸も元気に

腸の不健康は、運動不足にも関係があると言われます。

特に全身の筋肉量が低下すると腸の蠕動も停滞しがちになりますので、適度な運動習慣をもつことは、腸の健康を保つためにも非常に大切です。

ウォーキング、エアロビクス、ダンスエクササイズなどの有酸素運動が適しています。

こうした運動は、誰でも無理なく続けられるとともに、気分を爽やかにし、夜の睡眠を改善することができますので、ストレス不安感を解消するのにも役立つはずです。

良好な生活習慣には、いろいろな要素がありますが、第一は良質の睡眠を十分にとるということでしょう。

睡眠は、記憶力の維持強化と、体内の老廃物の除去に重要な意味をもちます。

夜更かしの悪い習慣やストレスで眠れないなどは、体力の回復ができないだけでなく、傷ついた脳の機能を修復することにも重大な支障をきたします。

睡眠の質および量が不足すれば、必ず腸の状態も悪くなります。それは、あなたの頭にかかる「脳の霧」を長引かせる原因にもなってしまいます。

繰り返しますが、頭がぼうっとして記憶が戻りにくくなる「脳の霧」は、病気ではなく、腸などの不調が招いた症状ですので、その原因を除去すれば、必ず改善できるのです。

たとえそれが、コロナ感染の後遺症であったとしても、そこでストレスや不安を重ねることなく、どうぞ気持ちを楽にして元気にお過ごしください。

(完)

(翻訳編集・鳥飼聡)

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