アメリカ国立樹木園のランドマークでもある議会議事堂の柱。2022年6月5日撮影。(Daniel Slim/AFP)

米ワシントンで建設予定だった「中国庭園」中止に 安保上の懸念で

米国政府は、ワシントンD.C.の国立樹木園(National Arboretum)内に計画していた「中国庭園」の建設を中止したことが分かった。多くの憂慮すべき点が見つかったことが理由だという。CNN23日付が報じた。

建設は中国政府からの提案だった。米国の反スパイ当局が詳細を調査したところ、数々の問題点があった。中でも最も懸念したのは、高さ約21メートルの白い塔の建造だ。ワシントンD.C.の中で最も高い場所の1つに設置されるこの塔は、米連邦議会議事堂からわずか2マイル(約3.2km)しか離れておらず、信号情報の収集に最適な場所となっている。

CNNは複数の情報筋の話として、「中国側はこの白い塔の建設資材を輸送する際、米税関当局が検査することができない外交用の封印袋を利用しようとした」と報じた。

計画では、約4万8552平方メートルに及ぶ「中国庭園」の広大な敷地内に、寺院や湖、楼閣、塔、複数の庭園および文化イベントなどに使用できる複数の建造物が作られる予定だった。総工費は1億ドル(約136億円)にのぼり、「大量の観光客を呼び込める」として地元政府の幹部らは歓迎していたという。

米紙ウォール・ストリート・ジャーナル2018年1月の報道によると、03年に江沢民・元国家主席のいとこである江澤慧氏と米農務省(USDA)は建設合意書を交わし、16年10月にオバマ米大統領(当時)と習近平国家主席が着工式を行ったという。

CNN23日の記事は、米政府はすでにこのプロジェクトを中止したと報じた。中止は米連邦政府機関による反スパイ活動の一環だという。安全保障当局の関係者は「中国の米国におけるスパイ活動が過去10年間で劇的にエスカレートしている」と指摘した。

米政府は17年以降、中国が米国の重要なインフラ施設付近に購入した土地の状況を調査したり、重要施設付近に盗聴設備を設置するのを阻止するなどの措置をとっている。

20年7月には「スパイ行為や知的財産侵害の温床になっている」として、テキサス州ヒューストンにある中国総領事館を閉鎖した。

(翻訳編集・李凌)

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