ブラジルの熱帯雨林には多くの先住民が暮らしている (Photo by MAURO PIMENTEL/AFP via Getty Images)

ブラジル先住民たった一人の生き残りが死亡 26年間外界と接触絶ち生活

先住民の権利擁護団体「サバイバル・インターナショナル」は28日、ブラジル北西部ロンドニア州の熱帯雨林に住む先住民の男性が死亡したと発表した。「穴の男」と呼ばれたこの男性は、外界と接触を絶った先住民族の最後の生き残りだった。

ブラジルの国立先住民保護財団(FUNAI)によると、男性は23日に小屋のハンモックで死亡しているのが発見された。暴力を受けた形跡はなく、自然死とみられる。

男性は身を隠したり、動物を捕るために穴を掘っていたことから「穴の男(Man of the Hole)」と呼ばれていた。推定年齢は60歳。

FUNAIが男性の存在に初めて気づいたのは1996年。ブラジル当局によると、男性は1995年に仲間6人が農家に殺害されてから、ロンドニア州のタナル先住民地区で26年間にわたって1人で生活していた。

サバイバル・インターナショナルによると、2019年時点でブラジルには約300の部族が存在しているという。その数はおよそ90万人に上り、大半がアマゾンで生活している。

先住民の権利はブラジル憲法によって保障されており、一部の先住民居住区への立ち入りは法令によって規制されている。タナル先住民地区に対する保護措置が認められたのは1998年で、2025 年10月26日に失効する予定。

保護措置を継続するには、FUNAIやサバイバル・インターナショナルといった組織が、先住民が居住していることを確認する必要がある。

英BBCによると、人権団体などは男性の死亡を受け、タナル先住民地区を恒久的に保護することを政府に求めている。

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