ピアノは音楽史に欠かせません。様々な時代の人間の想像力や情熱をかきたてる力です。(Shutterstock)

西洋音楽史に大きな足跡を刻む ピアノの歴史 (5)

ピア二ストのリストは1811年ハンガリーに生まれ、9歳から演奏会を始めました。若い頃のリストには、現代のスターのように、舞台の上の彼に夢中になるファンが大勢いました。彼は登場したとたん、観客席の貴婦人たちを気絶させることができました。

これまでほとんどのピアニストが鍵盤に両手をくっつけて弾いていたのに、リストは腕を高く上げて重々しく落とし、髪を後ろに振りながら、大きな轟音を立てるかのごとくピアノを演奏しました。

これは当時珍しい演奏法でした。作曲するにしても演奏するにしても、ピアノと対決する剣闘士のように燃えています。ピアノを弾き潰した記録もあり、彼のコンサートには常にピアノが三台用意されています。これはバイオリン界の巨匠パガニーニの魔術的な演奏の凄さに影響を受けたからです。

リストは、雷と稲妻、長い鐘の音、小川の水、咆哮する激流、神聖荘厳な歌、疾走する駿馬など、あらゆる効果音をピアノで作り出したのです。リストはピアノ作曲家の中で最も豊実なイメージを駆使して演奏しています。彼の女性ファンは彼を神のように崇めています。このピアノ史上の巨匠は、晩年はバチカンに住み、ローマ・カトリック教会で神父の職を得ていました。

20世紀のピアノ

20世紀に入って、ピアノの可能性は、どうやらすべて引き出されてしまったようです。バッハからドビュッシーまで、ベートーベンからリストまで、バルトークやプロコフィエフまで、人を震撼させる強音から、音楽の奇跡を創造する様々な電子鍵盤楽器が誕生しました。

ピアノは少し輝きを失っているようですが、しかし、ピアノの物語はまだまだ終わっていません。かつては激しい商業競争を引き起こし、巨匠同士の決闘を生み、世界中に狂喜乱舞するほど愛されてきました。そして、すべてのミュージシャンが尊敬の念を抱くような、並外れた才能を持った世代を生み出してきたのです。

ピアノのない音楽史は考えられません。ピアノは単なる楽器の名前ではなく、様々な時代の人間の想像力や情熱をかきたてる力なのです。その力が、世界のピアノ舞台を前にして、数々の天才演奏家や神童を生み出してきました。バックステージでは、とても独創的なピアノ製作者や調律師を生み出してきました。 

そして、この力こそが、筆者を生涯ピアノを愛する人にしたのです。

ピアノを選ぶときには、まず専門家に話を聞き、自分の考えを話してから売り手とも話をしましょう。もちろんプロに選んでもらうのが得策です。ピアノを買う際のポイントは音とタッチ感です。ピアノ自身の寿命は100年を超えており、大規模なオーバーホールを行えば、さらに100年は持つでしょう。 

ピアノの音は使っているうちにどんどん良くなっていくものです。 100年前のピアノは、あなたの耳にもピュアで美しい音を響かせるでしょう。 もちろん、20年、30年と使われた日本製のヤマハやカワイを買うのも、子育てには最適でしょう。

ピアノは風通しがよく、湿気のない日に当たらない場所に置くことが大切です。大きなカバーをして完全にピアノを覆ってしまうと、内部の湿気が抜けなくなり、カートリッジや鍵盤が壊れてしまいます。

ピアノの調律は、ピアノを維持し、使う人の音感を守るために欠かせない作業です。 使用中のピアノは、数カ月から1年の間にさまざまな変化を遂げます。

 これに夏の暑さと冬の寒さ、気温差などの変化が加わって、ピアノの音が低くなったり、鈍くなったり、濁ったりするのです。 年に一度の定期的なメンテナンスと調律により、ピアノは完璧で正しい、心地よい音程を奏でることができるのです。 これにより、学習者の耳に正しい音感を与え、子供の音楽的な才能を伸ばすことができます。

プロの演奏家なら、ヨーロッパのヴィンテージグランドピアノを再生したものがおすすめです。 驚くほど暖かく、明るく、まろやかなサウンドを奏でる楽器です。 キーはまるで新品のように繊細な感触です。 これらは、現在、世界で最も優れたピアノです。 一度所有すれば、生涯の伴侶として最適な選択となることでしょう。 

(翻訳編集:源正悟)

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