6. 始まった自給コミュニティづくり【 人類の活路は地球から教わる】
ここ何年も続く異常気象、コロナパンデミック、さらにウクライナ紛争。世界中に大きな影響を及ぼす出来事が続くなかで、一部の人々は安心して生活することができる新しい社会を探し始めている。しかし、新しい社会といっても、すでに科学技術は最先端の研究が進み、強固な社会システムをどう変えていくのか、途方もない課題のようにも思われる。実際、いまの時点で提案されているアイデアとしては、「AIが人間に代わって危険な仕事をしてくれる」とか、「遺伝子組み換え技術によって昆虫食が普及して飢餓を回避できる」とか、心から賛同できるようなものには思われない。
経済、政治、外交、教育、医療、福祉といった分野には、それぞれ大小さまざまな問題が起きている。そして、それらは小手先の対症療法ではなにも解決できないことを、おそらく大半の国民が感じ取っているのではないだろうか。そこで、今回の大テーマに「人類の活路は地球から教わる」という視点を据えて、これまで注目されていなかった事象についてご紹介してきた。そのなかで特に重要だと考えているのは、量子物理学の視点だ。なかでも、「量子は振動している」ということ、さらに「振動による共振・共鳴は大きなエネルギーを生み出す」という科学的な事実に、とても大きな魅力と可能性を感じている。
たとえば、自然農法の研究でいうと、穏やかで、楽しい気持ちで野菜を育てると良く育ち、逆に「大きくたくさん育ってほしい」などと強いプレッシャーをかけると育ちが悪い、といった現象が実際に起こる。どうやら私たちの脳波が、野菜づくりに強く影響してしまうらしいのだ。このことは、以前から何となく気づいてはいた。2011年に完全な無肥料・無農薬の野菜づくりを始めた当初は、「早く野菜が作れるようになりたい」と焦り、常に緊張したまま畑に立っていた。しかし、自分にできることは全て試し、資金が底をつき、全て失敗したとき、「どうにでもなれ」と諦めた。脱力したときに、なぜか野菜は育ち始めた。このことは、私の研究生活のなかで最も印象深い出来事だった。