充電する電気自動車 (Photo by Justin Sullivan/Getty Images)

荒野でEV立ち往生…炭鉱労働者が救助 充電先まで押して移動

9月上旬、ワシントンに住む一人の男性は都会の喧騒を離れようと電気自動車EV)を走らせていた。向かう先は270キロほど離れたウェストバージニア州のデイビス。しかし街の目と鼻の先のところでバッテリー切れとなり、立ち往生する羽目に。

車が止まった場所は、デイビスまではあと数キロのところにあるメティキ鉱山の近くだった。幸運なことに、5人の炭鉱労働者が男性を助け、電源がある守衛小屋まで押していった。

ウェストバージニア州のランディ・スミス上院議員はこの出来事をフェイスブックに投稿した。

「誰かが現場監督を呼びに行き、車が鉱山の運搬道路の途中で止まっていることを伝えた。現場監督がその車を調べに行くと、運転手の男性が週末にデイビスに出かける途中、車の充電が切れてしまったとわかった。戻ってきた現場監督は数人を引き連れて、立ち往生している車を充電できる守衛小屋まで押して行った」

炭鉱労働者たちは力を合わせて車を押した。スミス氏によると、重機などでけん引しなかったのは、車の下部が全てプラスチックで作られており、けん引しようにも引っ掛けられる部分がなかったからだ。

また、運転手の男性は荒野の真っただ中で立ち往生してしまったため、レッカー車を呼ぶことも叶わなかったという。

スミス氏は「5人の炭鉱労働者が電気自動車を鉱山付近の充電場所まで押して行ったんだ。よく見ると、後ろの方に石炭の備蓄と積出が見えるだろう。炭鉱労働者はいい人たちだ、彼らは敵味方関係なく助けに行くんだ」と誇らしげに述べた。

米国では民主党政権のもと、気候変動への対応として火力発電所における温暖化ガスの排出量制限を進める動きがある。これに対し、ウェストバージニア州などの石炭産地は反発し、連邦政府を相手取って訴訟を提起している。

米非営利消費者組織「コンシューマーズ・ユニオン」が行った消費者調査(対象者約8000人)によると、アメリカ人の3分の1が「ほぼ確実に」もしくは「真剣に」電気自動車の購入を検討しているという。持続可能な政策を担当するクインタ・ウォーレン氏は「調査からは、アメリカ人の間で、交通費の節約や環境への負担を軽減することに対して明確な関心があることがわかる」と述べた。

いっぽう、EV車の購入をためらう理由も複数挙げられた。充電スタンドの設置場所が購入を妨げる最大の要因(61%)となり、走行距離に関する懸念(55%)、購入・維持に係るコスト(52%)が続いた。

(翻訳編集・王天雨)

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