10月28日、サンフランシスコにあるペロシ米下院議長宅の襲撃事件を受けて捜査を行う連邦調査局職員 (Photo by Justin Sullivan/Getty Images)

FBI供述書、襲撃犯はペロシ氏の誘拐企て…元パートナーは「精神疾患」指摘

米サンフランシスコにあるナンシー・ペロシ下院議長の自宅に侵入し、夫ポール氏に暴行したとして訴追された容疑者の男は、議長の誘拐を計画していたことが連邦捜査局(FBI)の供述書で明らかになった。元パートナーによれば容疑者は「長らく精神衛生上の問題を抱えていた」という。

暴行と誘拐未遂容疑で訴追されたデービッド・デパペ容疑者は先月28日未明、ペロシ宅に侵入してポール氏を暴行した。議長はワシントンにいて不在だった。FBIの供述書によると、容疑者は結束バンドやハンマー、手袋などを所持していた。

容疑者によれば、議長は民主党による嘘の「グループリーダー」だという。このほか、議長を捕らえて尋問し、膝頭を壊すつもりだった。このことが他の議員らにも影響を及ぼすと考えていた。議長を拘束した後、別の個人を呼び出す計画だったが誰かは特定されていない。

FBIの供述書は事件当時の状況を詳述している。28日未明、容疑者はガラス戸から侵入し就寝中のポール氏を起こし、議長を呼ぶよう言った。ポール氏が不在だと答えると、家で待つと述べたという。この後ポール氏はトイレで緊急電話に通報した。

午前2時31分、通報を受けたサンフランシスコ市警察巡査はペロシ宅のドアを叩いた。ドアが開くと、ポール氏とデパぺ容疑者が片手にハンマーを持ち、容疑者はもう片方の手でポール氏の腕を握っていた。警官が2人にハンマーから手を離すよう求めると、デパぺ氏がハンマーを振るいポール氏の頭を殴った。直ちに警官が取り押さえたという。ポール氏はその場に倒れ込んだ。

暴行を受けたポール氏は頭蓋骨を骨折し、両手と右腕を負傷しており、治療のため入院している。事件後の議長声明によれば、ポール氏は回復に向かっているという。

元パートナー「彼は精神を病んでいた」

デパぺ容疑者の元パートナーだと名乗る女性はABC7の取材に対して、容疑者は長年精神衛生上の問題を抱えていたという。7年前に別れたという2人の間には息子が2人いる。「常に被害妄想で人に追われていると思い込んでいた」「自らをイエス・キリストだと自称していた」と女性は語った。女性はペロシ氏の家族に謝罪の言葉を述べた。

いっぽう、容疑者宅を訪れたジャーナリスト、ミシェル・シャレンバーガー氏の話では、周辺は悪名高い活動家が集まり薬物のシンボルが飾られた旗などが掲げられ、ホームレスの野営地の様相を呈していた。いわゆるヒッピーコミュニティだという。近隣住民の話では幻覚剤を入手するための人の出入りがあった。

デパぺ容疑者は連邦法により殺人未遂、誘拐未遂などの罪で最高50年の禁錮刑が科せられる可能性がある。カリフォルニア州も複数の容疑で訴追しており、終身刑となる可能性もある。

サンフランシスコ警視総監ウィリアム・スコット氏は、襲撃は意図的なものであり無差別ではないと述べた。

関連記事
米オハイオ州に住む61歳の女性が2021年1月6日に行った行為に対する重罪で有罪判決を受けたと、検察が4月29 […]
アメリカ最高裁のトーマス判事が、トランプ前大統領の弁護団に、特別検察官ジャック・スミスが大統領に対する起訴権限に異議を唱えたかどうかを問いただした。
今年11月に迫る米大統領選で勝利した場合、トランプ氏は数百万人の不法移民の強制送還や中国製品の関税強化、議会議事堂事件で起訴された人々の恩赦を行うと米誌タイムのインタビューで語った。
米国連邦大法院で、ドナルド・トランプ前大統領に対して一定レベルの免責特権は適用可能かもしれないという前向きな解釈が出た。これは、任期中に適用された容疑に関して「絶対的な免責特権」を要求していたトランプ側の主張に対して懐疑的だった従来の立場から少し緩和されたものだ。
トランプ前米大統領は11月の大統領選に勝利すれば、不法入国した移民を収容する施設を国内に建設することを排除しないと明らかにした。米紙タイムが30日、インタビュー記事を掲載した。