高齢になるにつれて脳がうまく働かなくなるということはなく、柔軟な脳は何歳になっても作れます。(プラナ / PIXTA)

記憶力低下は年齢と関係ない! 記憶力を維持する4つの方法とは(1)

私たち人間のはまだまだたくさんの謎に包まれています。しかし一つだけ確かなことは、この複雑な器官は年を取ったからといって必ず衰えるということではありません。脳はいつでも変わろうと思えば変えることができ、柔軟な形にする方法もあります。

脳は萎縮しますが心配ありません!脳神経の活性化が重要です

同じ年齢でも、人によって記憶力が違うことがよくあります。時に60代の方が40代の方よりも記憶力がいいこともあるでしょう。

記憶力だけでなく、思考力、推理力、コミュニケーション力、問題解決力などもすべて「認知能力」に関係します。ただ、この認知能力は必ずしも年齢とともに低下するものではありません。

健康な人間の脳には、数百億個の特殊な神経細胞があり、電気信号や化学信号を通じて情報を処理し、伝達しています。

神経細胞は、体内の多くの比較的短命な細胞とは異なり、自己を維持・修復することで長期間の生存が可能です。この間、神経細胞は常にシナプス結合を調整したり、形を変えたりしています。シナプス結合は、神経細胞が他の神経細胞と連絡を取ったり、刺激を受け取ったりするためのものです。また、稀に大人でも脳が新しい神経細胞を作り出すことがあり、これは神経新生とも呼ばれています。

シナプス結合の再構築と神経新生は、学習、記憶、そして脳の修復における重要な役割を担っています。

健康な脳では、自然な老化の過程で体積がある程度は減少しますが、神経細胞が大きく失われることはありません。

台湾の陽明大学神経科教授で台北栄民総医院認知症治療研究センター主任の王培寧氏は、脳の大きさよりも、神経細胞の活動や神経のつながりの方が重要だと考えています。

人は年齢を重ねるとともに、脳も老化していきます。

人間の脳の大きさは、30〜40歳を過ぎると10年に5%程度の割合で萎縮し、60〜70歳になるとさらに萎縮の割合が大きくなります。

王氏は、このような脳の萎縮は、人間の知能と絶対的な相関関係はなく、認知能力を決定するのは、神経細胞の活動と神経細胞間の結合性であると説明しています。

たとえ神経細胞の数が多くても、それが十分に働かず、十分に結合していなければ、人は良い記憶力や知能を持つことはできません。一方で、脳の神経細胞が活発で、他の細胞とうまくつながっていれば、年をとっても脳はうまく機能し続けることができます。

しかし、神経細胞の活動が低下し、神経のつながりが悪くなると、脳の萎縮が早くなります。 それは40歳の女性の肌年齢が70歳くらいであるのと同じようなものです。

神経細胞が活発であれば、脳の機能を維持することができます。(Shutterstock)

脳の劣化を加速させる「最悪」の生活習慣

脳の老化を加速させる原因として、糖尿病、肥満、メタボリックシンドローム、循環器疾患などが挙げられますが、これらは血液循環に影響を与え、血管を硬くし、脳に炎症を起こすことにより、脳の血管を傷つけます。喫煙や飲酒などの悪い生活習慣は、脳にもダメージを与える慢性疾患につながる可能性があります。

また、現代人に多いうつ病も、適切に治療しないと脳の退化を加速させる可能性があります。

交通事故、ボクシング、サッカーなど、頭部に繰り返し衝撃を与えやすいスポーツは、脳神経細胞を損傷し、神経の接続を弱める可能性があります。

また、脳を使わないことはもちろん、座りっぱなしや体を動かさないことも、脳を劣化させる原因になります。運動不足は、血液循環や血液中の酸素量に影響を与え、神経細胞の再生に有害です。王氏によると、運動は神経成長ホルモンの分泌を促し、神経の再生速度や量を増加させることができるといいます。

(つづく)

 

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