リトアニアから輸送された米国製FIM-92スティンガーミサイルなどの軍事支援をキエフの運ぶウクライナ軍の軍人たち。2022年2月13日撮影 (Sergei Supinsky/AFP via Getty Images)

中国との戦争…米国の武器は1週間で底をつく=CSIS報告書

米シンクタンク戦略国際問題研究所(CSIS)は23日、米国の防衛産業基盤に関する報告書を発表し、中国といった敵対的国家との「長期的な戦争」に対して米国の防衛産業は「十分な準備ができていない」と警鐘を鳴らした。

報告書は防衛産業基盤の強化には数年かかると指摘し、迫り来る台湾危機に備えるため直ちに防衛産業を強化する必要があると強調した。

これに先だちCSISが行った中国との台湾海峡での戦争シミュレーションでは、米国の長距離対艦ミサイルなど一部の軍需品が1週間足らずで底をつく可能性があることが示された。兵器の不足は米国の戦闘力を低下させ、中国に対する抑止力の弱体化を招くとした。

米国政府の推計によると、中国共産党は武器開発に多額の投資を行い、「米国の5〜6倍のスピードで」ハイエンド兵器システムを入手している。

また報告書は、ウクライナ戦争が米国の防衛産業基盤の深刻な欠点を露呈したという。16基の高機動ロケット砲システム「ハイマース」や地対空ミサイル「スティンガー」などをウクライナに提供したため、米国の軍需品の在庫が枯渇しつつある。報告書によれば、ウクライナに移管されたスティンガーの数は、過去 20 年間に米国以外のすべての顧客向けに製造した総数に等しいという。

さらに、米国の対外軍事援助(FMS)プログラムや国際武器取引規則 (ITAR)など、一部のプログラムや規制は戦時環境下では時代遅れだとし、主要な同盟国やパートナー国に兵器システムをより迅速に提供する必要があると述べた。兵器システムや技術を輸出しようとする中国やロシアなどの国との戦略的競争の激化は、「米国の競争上の優位性を相殺する恐れがある」と指摘した。

 

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