イメージ写真(Photo by Sean Gallup/Getty Images)

米グーグル、中国寄りの情報工作活動を5万件以上削除

米グーグルは26日、中国共産党の支援が疑われるサイバー集団「ドラゴンブリッジ」が昨年拡散した5万件以上の偽情報コンテンツを削除したと発表した。

グーグルの脅威分析グループ(TAG)によれば、ドラゴンブリッジはユーチューブ、ブロガー、アドセンスで偽情報コンテンツを拡散していた。2019年以来、削除されたドラゴンブリッジのアカウントは10万960件に上るという。

グーグルは、ドラゴンブリッジを「中国とつながりのあるスパム的な影響力ネットワーク」とし、中国共産党の政治的利益に沿った活動をしていると指摘する。これまでも偽りの情報を流布し、米国とその同盟国の間や政治体制の中に対立を生み出す情報心理戦を仕掛けているとして、米サイバーセキュリティ企業などが警鐘を鳴らしてきた。

TAGは報告書のなかで、ドラゴンブリッジは中国の新型コロナ対応からウクライナ戦争まで、米国に批判的なコンテンツの量を増やし投稿していたと指摘。主に中国人をターゲットにしてきたが、英語や他の言語を対象にしていた投稿もあったと述べた。

いっぽうで、大規模な活動を展開していたにもかかわらず、視聴者や読者数を獲得できていなかったことも判明した。昨年削除した5万3177のYouTubeチャンネルのうち58%は登録者を獲得できておらず、動画の42%は再生回数ゼロだったという。

しかし、TAGはドラゴンブリッジが政治アニメやより質の高い非政治的コンテンツの制作など、ユーザーを惹きつけるための手法の改変を粘り強く続けていることに注意を促すとした。

「このため、TAGはドラゴンブリッジを綿密に追跡し、コンテンツを特定し削除するため取り組みを拡大させていく」と述べた。

狙われる米国の政治システム

グーグル傘下のサイバーセキュリティ企業マンディアントは、昨年10月に発表した報告書のなかで、ドラゴンブリッジが2022年11月の米国中間選挙に影響を与えるために、米国とその同盟国の間や政治体制の中に対立を生み出す活動をしていると指摘した。

ドラゴンブリッジのアカウントは米国政府の制度に疑問を投げかける動画を投稿し、中間選挙の投票権を放棄するよう呼びかけたという。

またマンディアントは6月に、レアアース(希土類)を採掘する西側企業を攻撃する偽情報キャンペーンをドラゴンブリッジが行っていたとする報告書を発表している。

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