3月30日、米国を訪問した蔡英文総統を歓迎する市民たち(@iingwen)

米ロス中国領事館、下院議長と台湾総統との会談妨害指示 「謝礼」は400ドル

米ロサンゼルスの中国領事館は親中共団体や中国系移民、反社会組織人員らに約400ドルの報酬を渡し、ケビン・マッカーシー下院議長と台湾蔡英文総統との会合を妨害するよう指示している。台湾の自由時報が5日報じた。

報道が伝える米台の情報筋によれば、ロナルド・レーガン大統領図書館で開催される会合には、1000人以上の有償の抗議者が現れることが予想される。

中米グアテマラとベリーズを歴訪した蔡英文氏は経由地の米国に立ち寄る。マッカーシー氏は3日、カリフォルニア州ロサンゼルス近郊のレーガン図書館で5日、蔡氏と会談する予定だと発表した。

これに先立ち中国外交部報道官は会談発表前から強く反対の意を示し、会談が実現した場合には「断固たる対抗措置を取る」と述べていた。

駐米中国大使館は蔡氏の米国訪問への妨害に力を入れている。台湾の情報機関である国家安全局長の蔡明彦氏は、先月ニューヨーク市内で蔡氏の訪問に際して現れた抗議者は、中国共産党当局が200ドルの報酬で雇ったものだと指摘した。

情報筋の話では、ニューヨーク市内の活動が「効果が薄かった」として、5日の妨害活動には報酬を400ドルへと上げて、統一戦線組織や反社会組織から1000人以上を動員し、「大声を上げる」など「効果的な妨害」を行うよう指示したという。

このほか、米ナショナル・レビューによれば、蔡英文氏との会合について警告する中国大使館からの電子メールを複数の米国議員が受け取ったという。「あからさまな挑発に対して中国は何もせずにはいられないことを指摘しなければならない。望ましくない状況に対して必要かつ断固たる行動をとるであろう」と、中国外交官は書いている。

突然の台湾海峡での「監視活動」実施

中国政府は台湾海峡における武力を背景にした圧力もほのめかしている。5日、福建省の海事局は台湾海峡で「共同巡航監視活動」を行うと発表した。同局は微信公式アカウントで「今日、台湾海峡で共同巡航監視活動を開始する」との短いコメントを投稿し、台湾海峡全体を含む地図と大型監視船の写真を添えた。

共同巡航監視活動に中国海軍が参加するかどうかについて説明はなかった。

ホワイトハウスや国務省高官は繰り返し、台湾総統の米国訪問は米国の「一つの中国」政策と長年の慣行に合致しており、中国側には過剰反応する必要はないと強調している。

蔡氏の米国訪問に過剰反応を示すことを警戒して、台湾軍は総統専用機の離陸時に4機の戦闘機を護衛に派遣した。前出の蔡明彦局長は3月30日の立法院(国会に相当)での質疑応答で、局内でも状況を監視していると述べた。加えて、米国側からの情報共有と報告もあり、動向を把握していると明らかにした。

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