中国では3月、IT大手「百度」(バイドゥ)が試験的に提供を始めたほか、「アリババグループ」も11日、サービスの提供を発表するなど開発競争が加速している。2018年11月6日、百度(バイドゥ)のブース (STR/AFP/Getty Images)

国内AIサービスに規制をかけた中国 過去の中共批判が一因か?

中国政府は11日、AIを活用したサービスに対する規制案を公表した。規制案によるとAIが作成する文章は、社会主義の価値観を反映しなければならず、サービスの提供を始める前に当局の審査を義務づけるなど厳しい規制がかけられている。今回の当局の規制の裏には、過去、闇に葬られた「ある事件」に一因があるのかもしれない。

 

中国当局 AI開発に横やり

 OpenAI社のChatGPTなど、世界で対話式AIの利用が急速に広がる中、中国では3月、IT大手「百度」(バイドゥ)が試験的に提供を始めたほか、「アリババグループ」も11日、サービスの提供を発表するなど開発競争が加速している。

今回の新しい規則は、文章や画像、動画などを生成するAIを活用したサービスや製品は、社会主義の価値観を反映し、国家の転覆につながる内容を含んではならないほか、差別やプライバシーの侵害を防止しなければならないなどとしている。

また、サービスの提供開始前には当局の審査を受けることを義務づけており、規制に違反した場合、罰金を科されたり、刑事責任を追及されたりすることもあるという。

 

AIが中国共産党を批判

ロイター通信によると、2017年3月、中国のインターネット大手テンセントが人工知能(AI)をインスタントメッセージのサービス「QQ」に導入した。

人工知能(AI)はユーザーと会話する学習型AI機能をもつチャットボットで、一つはTuring Robot社製のBabyQ、もう一つはマイクロソフト社製のXiaoBingだった。

共産党が好きかと聞かれたBabyQは「いいえ」と答え、XiaoBingは「夢は米国に行くこと」と答えた。

あるスクリーンショットでは、ユーザーが「共産党万歳」と話しかけると「あのように腐敗し、無価値な政治制度が長持ちすると思うのですか」とも回答していたという。

その後、開発者のサイトから問題のAIに再度、共産党は好きかと繰り返し質問すると「話題を変えませんか」と答え、「再教育」された事が伺えた。

 

中共の下ではAI開発も前途多難

ラジオ・フリー・アジア(RFA)は、今回の規制の内容について、「中国共産党があらゆる形態の政治的反対意見を非合法化するために日常的に使用している宣伝文句」だと指摘し、当局は人工知能(AI)などの分野で「イノベーション」を促進すると主張しているが、「(今回の)新ルールはAI研究を著しく阻害するか、完全に葬り去るだろう」と観測している。

 

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