ブドウ糖より優れている? 2種類の食物繊維で1か月で血糖値を25%下げることが可能に

オートミールは健康的でありながら、過小評価されているスーパーフードです。オーツ麦には複数の健康効果があり、インスリンが発見される以前から、糖尿病の治療に使われてきました。血糖値を調整するオーツ麦の秘訣とは何なのでしょうか?

オーツ麦に含まれるプレバイオティクスは、
糖尿病の改善に役立ちます

動物性脂肪や加工食品を多く含む食事が、2型糖尿病の主要なリスクファクターであることは現在広く知られています。動物性脂肪だけでなく、動物性タンパク質の摂取もインスリン抵抗性を高め、2型糖尿病に罹りやすくなります。動物性食品の摂取量が増え、加工されていない植物性食品の摂取量が少ないと、心血管疾患だけでなく糖尿病のリスクも高まることが研究によって明らかになっています。

しかし、数ある植物性食品の中で、なぜ糖尿病のためにオーツ麦を選ぶのでしょうか? 上のビデオで説明したように、オーツ麦はインスリンが発見される以前から、糖尿病の治療に使われてきました。

オーツ麦を含む全粒穀物を沢山食べると、糖尿病のリスクが低下することは以前から知られていました。数十件のランダム化比較試験で、2型糖尿病患者に対するオーツ麦の摂取による代謝効果が認められています。研究によると、オーツ麦は短期および長期の血糖値コントロールを有意に改善し、コレステロール値を低下させることがわかりました。

これらの効果は、オーツ麦に含まれるβ-グルカンという発酵性食物繊維に由来すると考えられています。オーツ麦繊維を直接摂取するだけでも、コレステロールを下げる効果がありますが、発酵性食物繊維には、1型や2型糖尿病の血糖コントロールやインスリン感受性を改善することができると言われています。

実際に食物繊維はどのように作用するのでしょうか?

2種類の食物繊維が血糖値を調整する

オーツ麦がコレステロールを低下させるメカニズムの1つは、それが、微生物を操作する力、言い換えれば、腸内細菌に有益な影響を与えることです。

少量の食物繊維によって大きな違いを生むのです。私たちの「善玉」腸内細菌叢が繊維から生成する短鎖脂肪酸の抗炎症作用について話します。

オーツ麦や豆類に含まれる食物繊維は、糖尿病患者の長期的な血糖値調節を改善することが、数十件のランダム化比較試験で示されています。実際、これは米国食品医薬品局(FDA)が新しい血糖降下剤に求める基準値のほぼ2倍に相当します。ですから食物繊維の摂取により腸内細菌が選択的に増殖し、2型糖尿病の軽減につながるのです。

実は、便に含まれる50種類の細菌マーカーで、糖尿病の人とそうでない人がわかります。食生活を変えれば、1日で腸内フローラを変えることができます。 腸内細菌に食物繊維を提供し、その代わりに腸内細菌は酪酸など素晴らしい効果がある短鎖脂肪酸を提供してくれるのです。

オーツ麦、豆類、果物、野菜、ナッツ類を中心とした食事を摂取することで、フローラに与える繊維の量が飛躍的に増え、フローラが作り出す有益な短鎖脂肪酸の量も飛躍的に増えます。糖尿病患者の空腹時血糖値を1か月で約25%下げることができます。体内で培養された繊維をより多く供給すると、血糖コントロールがより良くなります。

短鎖脂肪酸を生成できる、ヒトの体に共生する微生物がより多様に存在すると、参加者のヘモグロビンA1c値(長期的な血糖コントロールの指標)が改善されました。このように、糞便移植研究は、因果関係を立証するのに役立ちます。

オーツ麦ファイバーがプレバイオティクスを促進する

オーツ麦ファイバーはプレバイオティクスとして働き、乳酸菌やビフィズス菌などの善玉菌の増殖を促進します。そのため、動物性タンパク質や脂肪を減らし、プレバイオティクス繊維を豊富に含むオートミール食が、糖尿病管理のための臨床ルーチンの一部になりつつあることは驚くべきことではありません。 しかし、残念なことに、時間の経過とともに、ますます軽視されるようになっていきました。

糖尿病の治療が進歩しているにもかかわらず、多くの人が自分の状態を管理することに困難を感じています。幸いなことに、忘れられたツールであるオーツ麦が復活しています。

著者について:マイケル・グレーガー(MD, FACLM)は、医師であり、ニューヨークタイムズのベストセラー作家であり、多くの重要な公衆衛生問題に関して国際的に認知された専門家として講演を行っています。世界情勢会議、国立衛生研究所、国際鳥インフルエンザサミットで講演し、議会で証言し、ドクター・オズ・ショーやコルバート・レポートにも出演しました、悪名高い「肉体の名誉毀損」裁判でオプラ・ウィンフリーを弁護する専門証人としても招かれています。