福島第一原発の処理水保管タンク。2023年1月20日撮影。(Photo by PHILIP FONG/AFP via Getty Images)

【寄稿】福島原発処理水の海洋放出は国際環境法違反なのか

国際環境法に適用される二つの重要な原則は、領土管理責任の原則(Principle of Territorial Jurisdiction)と均等利用の原則(Principle of Equal Use)である。領土管理責任の原則は「国家が領域主権に基づき自国の領域を使用または使用させる際、他国に重大な損害を発生させないよう相当の注意を払う義務を負う」というものであり、均等利用の原則は「国際河川のような自然資源はそれを共有する2つ以上の国々が均等に利用することができる」というものだ。ここで同等とは、上流と下流の区別がなく、占める流域面積の相対的な大きさにも関係はないことを意味する。

これらの原則に違反すると、国際機関を通じて解決したり、条約を締結して解決策を模索したりするが、極端な場合には戦争にもつながる可能性がある。 実際、1967年6月の第3次中東戦争は河川をめぐる均等利用の原則に違反したため勃発した。 シリアがガリラヤ湖に注ぐヨルダン川の上流を遮断し、ヤルムク川(Yarmouk River)に流そうとすると、イスラエルが全面攻撃を行った。たった6日で終えたこの「六日間戦争」は、「ヨルダン川水戦争」とも呼ばれ、シリアは国際的非難の対象となった。そして、イスラエルはヨルダン川上流管轄権を得た。

領土管理責任の原則も世界各地で違反事例があった。代表的なのがヨーロッパの酸性雨問題だ。 欧州各国は、1984年にジュネーブ議定書、1985年にヘルシンキ議定書、1988年にソフィア議定書、1994年にオスロ議定書を立て続けに締結し、酸性雨の原因物質を削減した。特に隣国に被害を与えた国家が主体的に自国の領土管理を改善した。

▶ 続きを読む
関連記事
中共国防部がXに公式アカウント開設も、コメント欄は「微博に帰れ」「ファイアウォール越えか」と政府批判・皮肉殺到。抖音でも「Xって何?」と戸惑いの声。中共の対外宣伝強化の一環か
中国共産党政権の指導者である習近平の反腐敗粛清は、政治的統制を強めることを目的としていたが、むしろ兵器生産を混乱させ、中国が高強度戦争を戦う能力に疑問を投げかけている
筆者は、ミーゼスの人間行動学を起点に、人間は目的をもって行動するが必ずしも賢明ではなく、自由ゆえに自滅的選択もするという特性を指摘する。そこから財産権の重要性と、課税がしばしば「合法的略奪」へ転化する危険を論じ、現在の米国がローマ帝国の衰亡と同じ道を歩む可能性を警告。
中共は対日姿勢を一段と攻撃的にしているが、軍事バランスを見るかぎり、実際の衝突を選べる立場にはない。中共軍には装備の品質問題や組織的腐敗など深刻な弱点があり、日米同盟を刺激すれば中共自身が壊滅的な結果を招きかねないのが現実だ
中共当局による突然の公演中止にもかかわらず、浜崎あゆみは無観客の上海会場でフルステージを完遂。毅然とした姿勢が中国内外で称賛を集め、政治的圧力を上回る“完勝”を果たした