岸田文雄首相は米国時間18日夕(日本時間19日朝)、日米韓首脳会談後に記者団の取材に応じ、東京電力福島第1原子力発電所の処理水の海洋放出について、政府として「判断すべき最終的な段階に至っている」との認識を示した。写真は米メリーランド州のキャンプデービッドで米韓首脳との会談に臨む岸田首相。8月18日撮影(2023年 ロイター/Evelyn Hockstein)

岸田首相、20日に福島訪問 原発の処理水放出「判断すべき最終段階」

[19日 ロイター] – 岸田文雄首相は米国時間18日夕(日本時間19日朝)、日米韓首脳会談後に記者団の取材に応じ、東京電力福島第1原子力発電所の処理水の海洋放出について、政府として「判断すべき最終的な段階に至っている」との認識を示した。帰国後20日に同原発を訪問することも明らかにした。

処理水放出には漁業関係者が反対の姿勢を変えておらず、近隣国の中国も反発。韓国は尹錫悦政権が理解を示しながらも国内で野党などの反発が根強い。

岸田首相は廃炉と福島の復興を進めていくために先送りできないと強調。7月に国際原子力機関(IAEA)が安全性を認めた報告書を公表したことを受け、国内外の関係者に説明を続けてきたと述べた。

その上で「漁業に対する影響を可能な限り抑制する観点などを総合的に踏まえ、国として判断すべき最終的な段階に至っている」と語った。ただ、具体的な時期は「現時点で予断を持ってコメントすることは控える」とした。

日米韓首脳はこの日、米ワシントン近郊にある米大統領専用の山荘「キャンプデービッド」で会談。中国が海洋進出を強め、北朝鮮が核・ミサイル開発を加速する中で連携を強化することで合意した。

岸田首相は記者団に対し、3カ国の安全保障協力を新たな高みに引き上げたことや連携の裾野を広げたこと、連携を継続的・安定的に強化していく土台を作ったことを成果として挙げた。

自民党の役員人事と内閣改造については、適材適所で判断するとし「スケジュールについて現時点では何も決まっていない」と語った。

(杉山健太郎 編集:久保信博)

*内容を追加しました。

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