21年3月ミャンマーの首都ヤンゴンで軍事政権に抵抗する市民たち(Photo by Stringer/Getty Images)

国連安保理、ミャンマー軍による民間人殺害を非難 中露印は棄権

中国とロシアを除いた国連安全保障理事会は、ミャンマーにおける「容赦ない暴力」と民間人の殺害を非難し、同国の軍事政権に対し、攻撃の停止、失脚した指導者アウン・サン・スー・チー氏の釈放、人権の尊重を再度求めた。

8月下旬、安保理加盟15か国のうち13か国が、昨年12月に採択されたミャンマーに関する最初の安保理決議の実施について「進展が不十分」とする声明を支持した。 21年2月に選挙で選ばれた文民政府から政権を掌握した軍部と友好関係にある中国とロシアは、インドとともに12対0の採決で棄権した。

声明は、 アウン・サン・スー・チー氏やウィン・ミン大統領を含む「恣意的に拘束された」すべての囚人の即時釈放、民主的制度の回復、人権と「国民の民主的意思」の尊重、法の支配の維持といった昨年12月の決議から、依然として履行が必要な要求事項を改めて表明した。

また、ミャンマーの軍事政権が21年4月に合意したものの遵守していない東南アジア諸国連合(ASEAN)10か国による和平計画の完全履行も求めた。

13か国の理事会メンバーによると、軍の行動により、ミャンマーでは1,800万人以上が人道援助が必要な状態にあり、そのうち1,500万人以上が適切な食料を定期的に手に入れることができず、200万人が避難生活を余儀なくされているという。

理事会では、外交官たちが、ミャンマーの軍と関連民兵が、ますます頻繁かつ大胆な戦争犯罪を犯しているとする国連の独立調査員による報告書について話し合った。

国連人権理事会が18年に設立した「ミャンマーに関する独立調査メカニズム」は、爆弾による民間人の無差別・不均衡な標的化、軍事作戦中に拘束された人々の大量処刑、家屋の大規模な焼き討ちなどを示す強力な証拠も発見したと述べた。

「我々の証拠は、同国における戦争犯罪と人道に対する罪が劇的に増加していることを示しており、民間人に対する広範かつ組織的な攻撃が行われている。裁判所が個々の加害者の責任を追及するために使用できるケースファイルを作成している」と、調査責任者のニコラス・クムジアン氏は語った。

リンダ・トーマス=グリーンフィールド米国国連大使は声明の中で、このグループの報告書を引用し、「政権の恐ろしい残虐行為は止めなければならない」と述べた。

ミャンマーの国連公認大使で、文民政府を代表するチョー・モー・トゥン氏は、国連安保理に対し、軍への武器、ジェット燃料、資金供給を禁止する決議を採択するよう求めた。

米国は今年8月下旬、ミャンマー軍へのジェット燃料の調達と流通に関与した2人の個人と3つの組織に対する制裁を発表した。同軍は、民主化勢力に対する空爆を強め、民間人を殺害し、避難をやむなくさせている。

米財務省の声明によると、今年4月と6月にサガイン地方で空爆があり、少なくとも90人が死亡したという。 声明によれば、クーデター以来、軍は3,900人以上の市民を殺害したと推定されている。

今回の制裁は、ミャンマーの国防省と2つの国有銀行に対して、米ドルを含む金融機関を通じた取引を防止するよう求めるなど、米国が軍に課した一連の罰則の中で最新のものだ。

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