台湾地方議会で進む「臓器狩り」厳罰化への動き 6大都市で決議案可決

台湾高雄市議会で14日、良心の囚人から強制的に臓器を摘出し移植手術に使用する「臓器狩り」について厳罰化を求める決議案が可決した。台湾では臓器狩りを問題視する機運が高まっており、台北を含む6大都市の市議会でいずれも同様の議案が通過した。立法院(議会に相当)では法制化に向けた議論も進められている。

同決議案は超党派の議員から支持を得ることができた。民進党書記長の湯詠瑜市議は「我々はこの決議案を通して、人権を支持するという態度を表明した」と述べた。国民党の陳麗娜市議は「強制臓器摘出を防ぐことは人権を守る上で非常に重要であり、多くの違法行為の防止にもつながる」と述べた。

可決に際し、高雄市の陳其邁市長も支持を表明した。「人権問題に国境はない」とし、「特に中国では新疆の人権問題や臓器摘出などが行われている。国際社会の共同での支援と注視が必要だ」とコメントした。

1999年に法輪功学習者への迫害が始まって以来、中国本土では移植専門病院が乱立し、臓器移植の件数が急増した。

しかし、移植で使われる臓器の出所が不透明であるとして、国連人権専門官は懸念を表明している。さらに、臓器提供数はドナー登録者数よりもはるかに多いため、国際調査組織は、中国共産党が需要に応じて囚人から強制的に臓器を摘出し、国内外の患者に移植していると指摘している。

国民党の蔡金晏市議は「これは人類に対する迫害だ」「他人の権利を奪い、自己のために利用することは許されない」と非難した。近年新たに結成された政党「台湾基進」の張博洋市議員は「台湾の全ての地方自治体がこの運動に参加し、共鳴するよう呼びかけていきたい」とした。

中国国内の人権侵害は、台湾社会をも揺るがしている。台湾の健康保険データベースによると、海外で腎移植を行った患者の90%が中国本土に渡航して手術を受けていた。

こうした問題に危機感を抱く超党派議員らは、刑法改正を支持し厳罰化する決議を提出、可決させてきた。今年末までに台北、新北、桃園、台南、台中、高雄の6大都市議会に加え基隆市でも同様の法案が通過している。

臓器狩りに厳しく対処する刑法改正の動きは、台湾立法院(国会相当)でも見られ、「臓器強制摘出の撲滅と防止に関する法律案」は成立に向けて議論が進められている。同法案は、国籍を問わず臓器強制摘出に関わった者を処罰するもので、域外適用が可能で、捜査及び刑事訴追に時効を設けていない。

関連記事
米議会の超党派議員は3日、ブリンケン国務長官宛てに書簡を送り、中国共産党による臓器狩りの阻止に向けた取り組みの […]
4月23日、チェコ下院議会で法輪功迫害に関する公聴会が開かれた。プラツニク保健副外相は「法輪功学習者に対する臓器収奪は我が国だけでなく、世界中の議会で非難されている。到底容認できない行為だ」と強く述べた。
中国では5月1日より、違法な臓器取引を取り締まる新法が施行される。だが、長年にわたり死刑囚や囚人からの強制的な臓器摘出の証拠が絶えない中、新法でこの問題が止むのか。専門家は一様に首を横にふる。
中国の謝鋒駐米大使が20日、米ハーバード大学ケネディスクールで講演中、複数の学生活動家による抗議が起こり、演説は何度も中断された。抗議者は中国共産党によるチベット、新疆ウイグル自治区、香港での高圧的な政策を非難し、非合法な臓器狩りを糾弾した。
東京の江東区総合文化センターで4月中旬、中国臓器狩り問題を伝えるポスター展が開催された。展示ホールに並んだ作品 […]