中国からのハッカーが1月にフィリピン大統領や政府機関のウェブサイトや電子メールシステムへの侵入を試みたが、失敗に終わった(Photo by MANDEL NGAN/AFP via Getty Images)

中国のハッカー攻撃、フィリピン大統領や政府機関のウェブサイトを狙う

フィリピン情報通信省当局者は2月5日、中国からのハッカーが1月にフィリピン大統領や政府機関のウェブサイトや電子メールシステムへの侵入を試みたが、失敗に終わったと発表した。問題のハッカーは、中国のユニコムのサービスに辿り着いた。

情報通信技術省(DICT)のレナト・パライソ報道官はフィリピンのDWPMラジオに対し、1月のハッキングはDICTのメールボックス、ナショナル・コースト・ウォッチ・センターやフィリピン大統領マルコス・ジュニア氏の個人ウェブサイトなどを標的にしたと明かした。

パライソ報道官は「我々はこの攻撃をどこの国によるものとも断定していない。ただし、IPアドレスによって、中国からの攻撃であることを突き止めた」と述べた。当該ハッカーはチャイナ・ユニコムのサービスを使っていたと付け加えた。チャイナ・ユニコムは中国共産党(中共)政権の国営企業である。

チャイナ・ユニコムと在フィリピン中国大使館は、ロイターのコメント要請に応じなかった。

この事件は、フィリピンと中共が南シナ海での主権をめぐる紛争を続けている最中に起きた。フィリピンは、中共の中国海警局船が放水銃を使用し、危険な妨害を行うことで、南シナ海でのフィリピン船舶の補給任務を妨げていると非難していた。

フィリピンは、南シナ海の仁愛礁(セカンド・トーマス礁)付近で座礁軍艦シエラマドレ号に駐留する少数の部隊に定期的に物資を供給している。仁愛礁は、国連が承認したフィリピンの排他的経済水域(EEZ)内にあるが、中共はこの岩礁の主権を主張し、その地域で多数の船舶を配備して巡回させ、フィリピンが補給任務を実行するのを妨害してきた。

フィリピンは、サイバー攻撃やデジタル犯罪に対抗するため、サイバー保護を強化することを目的とした5年間のサイバーセキュリティ戦略を策定している。 フィリピン軍は昨年、サイバー司令部を設立すると発表した。

関連記事
米国とフィリピンが、南シナ海で初めて肩を並べて行った共同軍事演習の最中、4月30日に中共の海警船が、同海域でフィリピンの船舶に再度危険な干渉を行(おこな)った。中共は以前から、南シナ海でフィリピンの船舶に対して干渉を繰り返し、国際社会から批判を受けている。
鬼木誠防衛副大臣は29日、フィリピンを訪問し、同国のテオドロ国防相と会談した。日本がフィリピンに供与する移動式警戒管制レーダー2基目の引き渡し式典にも出席した。東アジア地域における中国共産党の拡張に対して連携して抑止を図る。
4月22日、アメリカとフィリピンは合同軍事演習「バリカタン(肩を並べる)24」を開始した。演習は、台湾海峡の近くで初めて行われ、中国の脅威に対する明確な対抗措置と位置づけられている。これまでにない大規模なものとなった。
8日、エマニュエル駐日米国大使と山上前駐オーストラリア日本大使が、日米同盟の重要性を力説した。エマニュエル大使は、「新型コロナウイルス感染症」「ロシアのウクライナ侵攻」「中国の威圧的行動」という「3つのC」が世界を変えたと指摘。日米両国がこの2年間で70年来の政策を大きく転換したことに言及し、「日米同盟は新時代を迎えている」と強調した。
日本、フィリピン、米国の首脳は4月中旬に連続してホワイトハウスで首脳会談を行い、国際法の支配を守り、自由で開かれたインド太平洋を推進し、地域の進歩と繁栄を支援するという共通の決意を表明した。