日本の新型主力ロケット「H3」2号機が17日午前9時22分に打ち上げられた。写真は2月17日午前、鹿児島県・種子島宇宙センターで撮影(2024年 時事通信)

H3ロケット2号機打ち上げ成功、所定軌道に投入 衛星も分離=JAXA

[東京 17日 ロイター] – 宇宙航空研究開発機構(JAXA)は17日午前9時22分、日本の新型主力ロケット「H3」2号機を鹿児島県の種子島宇宙センターから打ち上げ、所定の軌道投入に成功した。1号機で失敗した2段目エンジンは正常に着火・燃焼し、搭載したロケット性能確認用の模擬衛星と超小型衛星2基も分離した。

JAXAの山川宏理事長は会見で、ロケットは「計画通りに飛行」し、機体が所定の軌道に投入したと発表。「こうした打ち上げ結果を報告できたことに安堵(あんど)している」と語った。「H3ロケットは日本が宇宙活動の自立性を確保すること、同時に国際競争力を確保するのが目的で、それに向けて大きく前進した」と述べた。

主要国での宇宙開発競争が厳しくなる中、H3は日本の宇宙ビジネスに欠かせない主力ロケットとして期待されている。昨年3月に実施した1号機の打ち上げでは、上昇中に2段目エンジンが着火せず失敗していた。このため、2号機の打ち上げが成功するかどうかに注目が高まっていた。

H3は現在の主力ロケット「H2A」の後継機で、JAXAと三菱重工業が2014年から共同で開発。災害時の観測や気象情報の収集、偵察などを行う国の人工衛星の宇宙への輸送、世界で高まる商業衛星打ち上げ需要の受注獲得のため2000億円余りを投じてきた。

H3の特長は打ち上げ費用の安さで、一定条件下ではH2Aの半額となる約50億円を目指している。米国主導の月探査計画「アルテミス計画」で物資輸送も担う予定。

当初1号機の打ち上げは20年度を予定していたが、主エンジンの開発が難航して延期を繰り返した。開発計画も見直され、大幅に遅れている。

1号機は23年3月に打ち上げたが、2段目エンジンが着火せず失敗。1年かけて原因究明と点火装置を改良するなどの対策を講じた。2号機の打ち上げは当初15日に予定していたが、天候不良で17日に延期していた。

(白木真紀 取材協力:小宮貫太郎 編集:久保信博)

Maki Shiraki

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