2016年1月5日、中国南西部の雲南省に集まるラマ僧たち(Johannes Eisele/AFP via Getty Images)

中国共産党、1千人超えるチベット族を拘束 ダム建設めぐり 米国務省が懸念

非政府組織(NGO)インターナショナル・チベット・ネットワークは24日、中国四川省カンゼ・チベット族自治州徳格県で水力発電のダム建設に伴う強制移転に反対していたチベット族1千人以上が、中国共産党当局によって拘束されたと明らかにした。

インターナショナル・チベット・ネットワークによると、僧侶を含む住民は、ダム建設によって二つの村の約2千人が移転を迫られ、6つのチベット寺院が失われることに対して、非暴力的な抗議行動を行なっていたという。24日時点では、拘束されたチベット族住民の安否は不明だ。

今回の拘束をめぐり、米国務省や著名な人権活動家は懸念を表明している。

米国のウズラ・ゼヤ国務次官(民主主義・人権担当)はX(旧ツイッター)で「村の移転と寺院の破壊を脅かすダム建設に抗議するチベット人に対する中国共産党の大規模拘束の報道に深く懸念している」と述べた。

英国の人権活動家ベネディクト・ロジャーズ氏も中国共産党によるチベット弾圧を「言語道断」と非難し「チベットを忘れてはならない」をXに投稿した。

チベットは、1951年に中国共産党軍が「平和的解放」と主張して支配権を掌握して以来、党の統治下にある。チベット仏教や民族文化を根絶させるため、中国共産党はカンゼ・チベット族自治州にある巨大仏像を破壊するなど、漢民族への同化政策を加速させている。

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