今回の国際保健規則の改正に関して、WHOから各国に対して提案ではなく、法的拘束力を持った指示が出せるといった内容が含まれていると神谷議員は述べている. 2024年2月12日、ドバイで開催された世界政府サミットのオープニングセッションで演説するWHOのテドロス(Photo by RYAN LIM/AFP via Getty Images)

日本はWHOの国際保健規則を無条件に受諾するのか

現在、世界保健機関(以下、WHO)では国際保健規則の改正が議論されている。この改正案は5月に決議される予定だが、その内容は未だ公表されていない。

神谷宗幣議員(参政党所属の参議院議員)は12日、参議院財政金融委員会で、法的拘束力を持つ国際合意が財政に影響があるのかを質問した。

鈴木俊一財務大臣は質問に答え、「国際保健規則は、すでに国会で承認したWHO憲章に基づく規則であり、その採択にあたり、国会の承認は求められていない」とし、「国際保健規則の改正により、財政的な影響が生じる場合には、国会に提出する予算案に盛り込まれ、予算の一部として国会において審議するものと認識している」と述べた。

それに対して、神谷議員は「過去のものが一回認められたからといって、これから先の変更の内容など、法的な拘束力があるものをすべて信じて、認めるというわけには、国会も行かないと思う」と言い表した。日本においてWHO憲章の国会の審議は日本がWHOに加盟する時に行われた1951年である。

今回の国際保健規則の改正に関して、WHOから各国に対して提案ではなく、法的拘束力を持った指示が出せるといった内容が含まれていると神谷議員は述べている。

昨年2月1日発表されたパンデミック条約の「ゼロドラフト(基礎草案)」では、「世界を公平に」という旗印のもと、グローバル・パンデミックの緊急事態を宣言・管理する権限が、WHOに与えられており、ひとたび健康上の緊急事態が宣言されれば、米国を含むすべての加盟国は、治療法、ロックダウンやワクチン義務化などの政府規制、グローバルサプライチェーンの運用、国民の監視などに関して、WHOに服従することになる。

2月27日、衆院予算委員会で、WHOの「規則」、国会の承認を求めず、法的拘束力を受け入れるという上川陽子外務大臣の答弁は物議を醸した。

というのも、これまで法律事項を含む国際約束、財政事項を含む国際約束、我が国と相手国との間、あるいは国家間一般の基本的な関係を法的に規定するという意味において、政治的に重要な国際約束であって、それゆえに発行のために批准が必要とされているものに関しては国会の承認が必要とされている。いわゆる「大平三原則」について、矛盾する形となる。

上川陽子外務大臣のこの国際保健規則を受諾することについての答弁は、議員そして国民に内容を知らさないまま、法的に拘束力を持つ国際条約を受諾する危険を孕んでいる。

神谷議員は「我々の知らないところで勝手に決まった、それに対して予算執行しますといったことにならないように」と述べた。

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