23年9月、北京のショッピングモールで、伊高級ファッションブランド「グッチ」の看板を通り過ぎる女性。参考写真 (Photo by JADE GAO/AFP via Getty Images)

日本語もある中国版インスタ「小紅書」、利用者データは中国本土に送信

中国発のSNSアプリ「小紅書(RED)」の日本版「habU(ハブユー)」が昨春リリースされ、日本の若者の間でも利用可能になっている。広告を通じて、ファッションやメイクに関心のある若い日本人女性ユーザーにも目に触れる機会が増えている。しかし、中国アプリは例外なく中国共産党の管理下にあり、利用すればセキュリティリスクに直面することとなる。

小紅書は、中国国内で2億人以上の月間アクティブユーザーを抱える人気のSNSだ。1990年代以降に生まれた女性をターゲットに、美容、ファッション、インテリア、旅行、自己啓発などのライフスタイルコンテンツを共有できる場を提供している。

日本でも、小紅書は「中国版インスタグラム」として知られ、特に若い女性の間で急速に普及している。アプリのインターフェースは日本語にも対応しており、手軽に利用できる。

しかし、小紅書の運営には中国共産党による検閲が行われている。米議会が支援するアジアファクトチェックラボ(AFCL)が行った実験では、1989年6月の天安門事件に関連する投稿が削除され、アカウントがブロックされた。また、習近平に関連する多くのメッセージも発信不可となっている。

AFCLによれば、小紅書の利用規約とプライバシーポリシーによると、同アプリに投稿された全てのテキスト、写真、動画、音声、コメント、いいね、お気に入りなどの個人情報は中国国内のサーバーに保存され、要請があれば中国当局に提供されるという。

台湾の経済民主連合創設者の頼中光氏は、こうした規定により利用者が「高度なリスク」にさらされていると指摘する。中国の曖昧で広範な国家安全法に違反すると解釈される可能性のある投稿をした利用者は、中国への渡航を避けるべきだと警告した。

日本でも中国製アプリのセキュリティリスクが懸念されている。2020年には、ティックトックやウィーチャットなど一部の中国製アプリについて、政府機関での利用が事実上禁止された。米国は議会でこれらを規制する法案を可決。若い世代が目にする情報に米議員らも目を向け、対策を講じている。

日本でも、個人情報の漏洩事件が相次いでおり、企業のセキュリティ対策の重要性が改めて認識されている。LINE発の新会社であるLINEヤフーは、個人情報保護委員会から行政指導を受けるなど、厳しい対応を迫られている。

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