1880年代にドイツの心理学者、ヘルマン・エビングハウスが「忘却曲線」を発見しました(barks / PIXTA)

「勉強したことを忘れない」 記憶力を強化する方法とは?

1880年代にドイツの心理学者、ヘルマン・エビングハウスが記憶実験によって「忘却曲線(Forgetting curve)」を発見しました。

この曲線は、時間の経過とともに人間の記憶が薄れていく様子を表したものです。では、勉強して覚えた知識などの記憶を定着させるため、私たちはどうすれば、この忘却曲線に「対抗する」ことができるでしょうか。

ウェブサイト「ライフハッカー(Lifehacker)」によれば、常識的に言うと、人は特定の情報を目にした後で再びそれを見ることなく、時間が長く過ぎれば、その記憶は曖昧模糊となるものです。

しかし、エビングハウスは「どれほど記憶を持続できるかは多くの要因によるため、明確な答えはない」と指摘しました。

この「記憶に影響を与える要因」には、その情報の難しさや記憶することの意義がどの程度であるか、さらには本人が抱える疲労ストレスの程度にもよります。

ある研究によると、人は平均すると、学んで間もない内容は、半分を1時間以内に忘れ、さらに24時間以内には7割を忘失してしまうといいます。つまり、学んだことを復習しなければ、数日から数週間で全てを忘れてしまうのです。

さて、その「忘却曲線」にあらがって記憶を確かなものにするには、どうすればよいでしょうか。エビングハウスと今日の教育家が意見を一致させているのは、以下の2つの学習方法です。

 

間隔をあけて繰り返す

時間の感覚を開けて、くり返し復習します。これは一種の心理学的な間隔効果を狙ったもので、2回の復習の間隔を徐々に広げることで効率を上げていく学習方法です。この方法によって多くの情報や知識を吸収でき、記憶を保つことができるという証があります。

基本的に、教科書などを何回も読んで覚えた上、毎回時間を開けて復習する必要があります。開ける間隔の長さは、どれだけ記憶しているかによります。例えば、難しい内容の授業であれば、平易な内容の授業ノートよりも、覚えるのが繁雑になります。

勉強の効率を上げるには、間隔をあけて繰り返すことが重要です(yamasan / PIXTA)

 

興味をもって学習に集中する

教材を興味深いものにすることで、子供たちはそれを吸収しやすくなり、学習に一層集中できます。同様に、大人であるあなたも、このテクニックを自分の研究に役立てることができるでしょう。例えば、新しい資料を読むときに、興味をもって集中するように努めるのです。

米国の心理学者であるF.P.ロビンソン教授が考案した「SQ3R学習法」は、ぜひ試してみる価値があります。

「SQ3R」とは、つまりSurvey(調査)、Question(問いかけ)、Read(読解)、Recite(暗唱)、Review(復習)の5つのステップを踏まえて、まずは資料に目を通し、どのような問題があるかを確認したうえで、さらに注意深く読み、その問いに対する答えを見つけます。

続いてそれを暗記し、くり返し復習します。復習の際には、先ほど述べたように適度な間隔を開けることで、忘却曲線を克服し、新しい記憶を長く保持できます。

 

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