国際格付け会社フィッチのロゴ。(Miguel Medina/AFP via Getty Images)
以前の成長パターンを維持できなくなっている

フィッチが中国国有銀行6行の格付け見通しをネガティブに修正=経済的支援能力に疑問

 

国際格付け機関であるフィッチ・レーティングスは、4月16日に、中国の6大国有銀行の格付け見通しを行い、「安定」から「ネガティブ」へと引き下げたと発表した。この措置は、中国共産党政府が、銀行セクターの直面する圧力に対して、支援を行う能力に疑問が生じていることに基づいている。実際、フィッチは先週、中国の国の信用格付け見通しも「ネガティブ」に修正した。

同日、フィッチは、具体的に中国工商銀行、中国建設銀行、中国農業銀行、中国銀行、交通銀行、中国郵政儲蓄銀行の6つの銀行について、信用格付けの見通しを下方修正した。

フィッチによれば、中国の国有銀行の格付け見通しを下げたことは、中国共産党政府が国有銀行への支援姿勢を変えていないものの、これらの銀行に対して、以前と同じレベルの特別支援を行う能力が、低下していることを示しているとされる。

2008年以降、中国の銀行システムは急激に成長し、2023年には総資産が417兆元(約9086兆3215億円)に達し、その年の中国国内総生産(GDP)の330%に匹敵する規模になった。さらに、6つの主要な国有銀行が市場の40%以上を占めている。中国共産党政府は19の銀行を「国内で重要な銀行」と認定しているが、その数の多さが政府の銀行システムへの支援能力に限界を生じさせている。

4月10日、国際格付け機関フィッチは、中国の長期外債(国や地方公共団体、企業などが資金調達のために発行する有価証券)の格付け見通しを「安定」から「ネガティブ」に下方修正した。これは、中国の公共財政がリスクに直面しており、経済が以前の成長パターンを維持できなくなっていること、そしてそれが財政にも悪影響を及ぼしているという判断に基づいている。

昨年12月には、ムーディーズも同様の措置を取った。これは、中国共産党政府が地方政府や国有企業を支援し、不動産市場の不安定性を管理する必要があるという事情が背景にある。

 

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