銀座の街並みをゆく人。23年7月撮影、参考写真(Photo by RICHARD A. BROOKS/AFP via Getty Images)

中国系企業、「銀座デイリー」など偽新聞社を運営…30カ国あまりで

カナダ・トロント大学の研究機関「シチズン・ラボ」は最近、中国のPR会社「海脉雲响伝媒」が世界30カ国で100以上のウェブサイトを運営し、中国共産党のプロパガンダを拡散していると指摘する報告書を公表した。

これらのサイトは一見、各国の現地ニュースを配信しているかのように見える。たとえば、日本の「銀座デイリー」、イタリアの「ミラノ・モーダ・ウィークリー」、韓国の「インチョン・フォーカス」といった具合だ。しかし、掲載される記事の内容は、台湾の蔡英文総統への批判や、香港の民主活動家を「裏切り者」呼ばわりするなど、中国政府の主張と歩調を揃えたものばかりだという。

サイトのアクセス数は軒並み少なく、ほとんどトラフィックがないケースもあった。それでも、検索エンジンの表示結果に影響を与え、中国共産党のプロパガンダを拡散しようとしていたとみられる。

報告書の公表を受け、これらのサイトの多くは閉鎖されたが、一部は現在も運営が続いている。シチズン・ラボの研究者は「たとえ影響力が小さくても、このような活動を放置すれば、やがて民主的な議論の土台が蝕まれる恐れがある」と警鐘を鳴らす。

実際、各国の政府もこうしたサイトの存在に神経を尖らせている。昨年12月には、韓国の国家情報院が、中国系企業と関連する18のサイトについて注意喚起。イタリアでも、中国発のフェイクニュースサイト群が報道で取り上げられた。

シチズン・ラボの上級研究員、アルベルト・フィッタレッリ氏は「これまで、中国のネット工作部隊は主にSNS上の大量のアカウントを使って活動してきた。それが通用しなくなった今、ウェブサイトを利用する新たな手法にシフトしているのだろう」と指摘する。

さらにフィッタレッリ氏は、AI技術の発達によって、今後は巧妙なフェイクニュースが量産されるリスクがあると予測する。「まもなく、AIが生成する記事や動画と、人間が制作したコンテンツを見分けるのが難しくなる。私たちは最新のテクノロジーへの理解を深め、警戒を怠らないことが肝要だ」

フィッタレッリ氏いわく、海脉雲响伝媒はシチズン・ラボの報告について「読んでいない」、「我々のことではない」といった趣旨の返答をしたという。

中国共産党を背景にしたPR会社について、その実態解明が急がれる。このほか、市民一人ひとりがメディアリテラシーを高め、批判的な目を養うことも肝要だ。

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