嫉妬心
5千年の歴史を持つ中国には、古来から「文人は互いに軽蔑しあい、武人は互いに大事にする」という言い伝えがあります。武人は、身体や技の鍛錬だけでなく、精神的な修養をも重んじることから、彼らは武術をもって交わりを結び、互いに惜しむことを知っているのです。
一方、近代において、文人の間では「文章の場合は、自分の方が良く、妻は、他人の奥さんの方がいい」という冗談が流行っています。これは、実は中国人特有の強烈な嫉妬心の現れを風刺しています。古来、儒教思想の影響を強く受けてきた中華民族は、忍や礼を重んじ、内向的な性格を持つようになりました。その傾向が極端に行くと、嫉妬心を生じやすくなります。
中国には、嫉妬心に関する歴史物語がたくさんあります。兵法に長け、優れた才能を有していた孫臏(そんぴん)を嫉妬した厖涓(ほうけん)や、『封神演義』の中で、申公豹が能力のない老いた姜子牙を嫉妬したこと、また宋の時代、救国の英雄と言われた岳飛を嫉妬して謀殺した秦檜など、その数は数え切れません。嫉妬心から相手を貶める人物は、後々まで人々から軽蔑され、罵られる羽目になり、その末路は悲惨です。
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修煉の文化には、人間にはそれぞれ定められた運命があると伝えられています。人生における全ての幸せと不幸せは定めがあり、富は前世で積んできた徳と交換してやってきたものです。嫉妬や不満のため、他人と争い、傷つけることは、自分の運命を変えられないだけでなく、罪業を造り、災いを招いてしまいます。ですので、人生においては、嫉妬心を生ぜず、淡泊に、寛大に過ごすことが百利あって一害なしなのです。
ジョセフ・エプスタイン(Joseph Epstein)は著書『嫉妬』の中で、「7つの大罪の中で、嫉妬だけが楽しくない」と書いています。 もちろん、人々が最も認めたくないのは、自分の嫉妬深さで。なぜなら自分が卑屈で、意地悪で、心が狭いことを認めることだからです。