春にぴったり! 牛肉×パクチー薬膳コンビで食欲アップ
春の終わりが近づき、気候は湿気を帯びて熱がこもりやすくなります。湿は脾(胃腸)を、熱は肺(呼吸器)を傷めやすく、のどの乾燥、胸の重さ、咳、食欲不振、だるさなど、さまざまな不調が出やすい時期です。
「土を養い金を生む」五行の食養生
こうした不調を整えるには、「脾(=土)を養って肺(=金)を助ける」ことがポイントです。五行の理論では「土が金を生む」とされ、脾胃が整えば、肺の働きも自然と高まると考えられています。
そのため、日々の食事では「脾を整えて肺を養う」の原理で、胃腸を温めながら潤いとめぐりを整えることが大切です。
薬膳に適した3つの食材
- 牛肉:温性で脾胃を補い、体力や気を高めてくれる
- 大根:消化を助け、気の巡りをよくし、痰や熱を鎮める
- パクチー(香菜):香りで気を巡らせ、風と湿を取り除き、脾・肺・肝のバランスを整える。風の影響で肺が弱りやすい時期に、特に役立つ。
これら3つの食材を組み合わせることで、脾を元気にして肺を潤す「土が金を生む」の理想的な食養生メニューになります。
⚫︎ベトナム風牛肉のフォー|清熱・除湿・食欲アップに
◎特徴:
- さっぱりとして重くなく、湿気を取り除き気の巡りをよくしてくれるため、湿熱体質の方や、春のだるさや食欲不振が気になる方におすすめ
- パクチーやミントが食欲を引き出し、鼻づまりや倦怠感を軽減
- フォーは体を適度に冷やして潤す性質があり、体にこもった熱をしずめ、便通を整える働きも
材料(1人分):
- 牛肉スライス(赤身) 80g
- 大根の千切り 50g
- ベトナム米麺(フォー) 80g
- パクチー 適量
- ミントか紫蘇 少々(お好みで)
- 生姜の千切り 少々
- ライム 1/4個
- ナンプラー(または醤油) 小さじ1
- 塩、白こしょう、唐辛子 適量
作り方:
- フォーはぬるま湯に浸けて戻しておく。
- 牛肉はナンプラーと白こしょうで下味をつけて10分ほど置く。
- 鍋に水、生姜、大根を入れて沸かし、牛肉をさっと茹でて取り出す。
- 麺をさっと湯通しし、器に盛る。
- 上に牛肉と大根をのせ、スープを注ぐ。
- パクチーやミント、唐辛子を散らし、ライムをしぼって完成。
◎薬膳ポイント:
- パクチー+ミント:風を散らして気を巡らせ、鼻づまりや倦怠感を軽減
- 大根:痰を取り、食欲不振や咳に
- 米麺:身体に潤いを与え、火照りを鎮める
⚫︎和風牛肉パクチー丼|脾を元気に、食欲が落ちたときに
◎特徴:
- 温かく調和のとれた味わいで、気力や食欲が落ちやすい脾虚タイプの方にぴったり
- パクチーを熱した油で香り立たせることで、気の巡りがよくなり、体もすっきり
- あたたかいご飯と香ばしい調味で、脾胃をやさしく養う
材料(1人分):
- 牛ひき肉 80g
- 白大根(みじん切り or 千切り) 50g
- 玉ねぎのみじん切り 30g
- 生姜のみじん切り 少々
- 醤油 小さじ1
- みりん 小さじ1(なくても可)
- パクチーのみじん切り 適量
- ごはん 1膳分
- 白ごま、海苔、ラー油(お好みで)
作り方:
- 牛ひき肉を炒め、玉ねぎ・大根・生姜を加えて香りが立つまで炒める。
- 醤油とみりんで味付けし、水分がほどよく飛ぶまで炒める。
- 火を止め、パクチーを加えて余熱で香りを引き出す。
- ごはんにかけ、お好みでごまや海苔、ラー油をトッピング。
◎薬膳ポイント:
- 牛肉:脾を補い、体力・気を回復
- 大根:消化を助け、気の巡りをよくする
- パクチー:陽気を高めて寒湿を払い、通りをよくする
- 白米:脾胃を養う優れた食材
まとめ
春の終わり、日本は湿気と風が重なりやすく、体調を崩しやすい季節です。
こうした時期こそ、自然のリズムに合わせた食事を意識することで、体内のバランスを整えることができます。
牛肉・大根・パクチーといった身近な食材も、五行の知恵を活かして組み合わせることで、「土を養って金を生む」――つまり脾胃を整え、肺を潤す力強い薬膳のパートナーになります。外からの不調をはねのけ、食欲と心身の元気を自然に取り戻すために、春の疲れや食欲の落ち込みを感じたときには、ぜひ取り入れてみてください。
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中医学の養生は、体を自然界のように調和させる「気候調整」の学問。五行の働きが乱れると病が生じ、整えば健康が戻る。季節と連動した「人体の気候」を理解することで、日々の食と生活に新たな視点が生まれます。