人間の免疫システムは24時間休むことなく働いており、新型コロナウイルスやインフルエンザ、細菌、さらには慢性炎症と戦う力に影響を与えています。科学的に効果が証明されている7つの栄養素を補うことで、ウイルス感染に対する抵抗力をより効果的に高めることができます。
免疫システムはまるで軍隊のような存在で、ウイルスが侵入すると、T細胞やマクロファージといった免疫の戦士たちが全力で防御し、外から来たウイルスや細菌を攻撃します。しかし、免疫力が弱いと、ウイルスが体内で急速に広がり、より重い症状を引き起こす可能性があります。研究によれば、免疫機能が低下している人は、COVID-19に感染した際の入院中の死亡率が、正常な人よりも高いことが示されています。
7つの重要な栄養素
臨床事例やいくつかの科学研究によって、7つの重要な栄養素を十分に摂取することが、免疫力の維持と強化に役立つことが確認されています。
1. たんぱく質
免疫細胞の構成要素であり、グルタミンやシステインなどの必須アミノ酸を体に供給します。これらの成分は強力な抗酸化物質であるグルタチオンの合成を助け、白血球や抗体の生成を促進して免疫機能を高めます。
研究によると、COVID-19で集中治療を受けている患者が、理想体重1kgあたり1日少なくとも0.8gのたんぱく質を摂取することで、死亡率の低下と関連がある可能性が示されています。
牧草飼育の肉、天然の魚、有機卵、豆類、ナッツ、種子などが良質なたんぱく質です。
ある56歳のCOVID-19患者は、長期間の低たんぱく質食によって回復が遅れていましたが、食事を見直し、毎日卵や牛乳から十分なたんぱく質を補うことで、白血球の数が急速に回復し、症状も早く改善しました。
2. オメガ3多価不飽和脂肪酸
炎症を効果的に抑え、サイトカインストームを防ぎ、ウイルス感染後の重篤な合併症を減らします。研究によると、重症COVID-19患者にオメガ3を補給することで、入院期間が短くなり、全体的な回復も早くなります。
サーモンやサバなどの深海魚、アマニ、チアシード、クルミなどには、オメガ3脂肪酸が非常に豊富に含まれています。
ある42歳の女性は、COVID-19感染後に毎日高用量のEPA(2000mg)とDHA(1500mg)を摂取し、同じCOVID-19感染者よりも5日早く回復し、症状も軽く済みました。
オメガ3の最適な摂取量は、体質や炎症レベルにより調整が必要で、過剰摂取は逆に免疫機能を低下させる恐れがあります。
3. 食物繊維とプレバイオティクス(腸内善玉菌)
腸内環境は免疫力に直結し、体内免疫細胞の70%以上が腸に存在しています。食物繊維は腸内細菌のバランスを保ち、プレバイオティクス(善玉菌)は免疫系を調整してウイルスへの抵抗力を高めます。
ニンニク、タマネギ、ニラ、アスパラガス、バナナ、オートミール、豆類などには、食物繊維が豊富に含まれています。
ある70歳の患者は、感染後にイヌリンやビフィズス菌を補給したところ、入院期間が3日間短縮され、炎症マーカーも大幅に改善しました。
4. ビタミンD
免疫の調整に重要な役割を果たし、ウイルス感染のリスクを減らす働きがあります。研究では、ビタミンDが不足している人はCOVID-19の感染リスクが大幅に高まると示されています。
ビタミンD不足は非常に一般的で、検査を受けた患者のうちほぼ90%が不足状態でした。
ビタミンDを補う際には、マグネシウムやビタミンKと一緒に摂ることで、吸収率が高まるだけでなく、カルシウムが血管内にたまるのを防ぐこともできます。日常生活の中では、適度に日光を浴びることに加えて、深海魚、卵黄、強化乳製品を摂ることでもビタミンDを効果的に補えます。
ある38歳のCOVID-19患者は、毎日5000IU(国際単位)のビタミンDを補い、回復が著しく早まり、血中酸素濃度もすぐに改善しました。
5. ビタミンC
白血球の働きを活性化し、炎症を抑え、回復を促進します。研究によると、ビタミンCは免疫を高めることでCOVID-19の感染を防ぐ効果があります。ただし、摂取量は個人の状態に応じて調整が必要です。
柑橘類の果物、パプリカ、キウイ、ベリー類、アブラナ科の野菜などには、ビタミンCが豊富に含まれています。
ある52歳の糖尿病患者は、COVID-19感染後に毎日10gのビタミンCを静脈注射で補給し、罹患期間が明らかに短縮されました。
6. 亜鉛
ウイルスの拡散を抑制し、T細胞を活性化して免疫機能を高めます。研究では、亜鉛不足のCOVID-19患者は合併症が多く、入院期間の延長や死亡率の上昇と関連があると示されています。
適切な亜鉛の摂取量は人によりますが、通常50~100mgが安全とされています。
亜鉛を豊富に含む食品には、牡蠣、牛肉、かぼちゃの種、レンズ豆などがあります。
ある47歳の患者がCOVID-19に感染した後、亜鉛とケルセチンを服用したところ、一般の人よりも回復が早かったという報告があります。
7. マグネシウム
ビタミンDを活性化させて免疫力を強化し、さまざまな呼吸器感染症患者のウイルス感染率を下げる効果があります。
マグネシウムが豊富な食品には、緑葉野菜、ナッツ、種子、アボカドなどがあります。
ある30歳のアスリートは、COVID-19感染後に毎日300mgのマグネシウムを摂取し、素早い回復を遂げました。
中医学による体質別の免疫力強化法
免疫力を高めるには、毎日バランスの取れた栄養を摂ることに加え、健康的な生活習慣を取り入れることが重要です。中医学の視点から見ると、体質によって最適な栄養の取り方が異なります。
陽虚体質(体のエネルギーが不足している状態)の人は、疲れやすく、手足が冷たくなりやすいため、生姜や高麗人参などの体を温める食材を積極的に摂ることが勧められます。
一方、陰虚体質(体内の潤いや血液が不足している状態)の人は、のぼせやすく、喉の渇きや口の乾きといった症状が出やすいため、オメガ3系多価不飽和脂肪酸や緑茶を適度に摂取することで体調を整えると良いでしょう。
炎症が起こりやすい体質の人、たとえば肥満、糖尿病、慢性疾患を持つ人は、糖分の摂取を控え、ウコン(ターメリック)やケルセチンなどの抗酸化物質を積極的に取り入れることで、炎症の軽減に役立ちます。
また、菜食主義者は免疫力の維持に特に注意が必要であり、植物性たんぱく質を多く摂るか、ビタミンB12の補給を検討することが勧められます。
(翻訳編集 華山律)
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