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がんとビタミンCの関係

がん治療に“ビタミンC点滴”という選択肢

オーストラレーシア栄養環境医学大学(ACNEM)の創設者であり、26年以上にわたり会長を務めたイアン・ブライトホープ教授は、がん治療における高用量静脈内ビタミンC(HDIVC)の支持者として長年にわたり活動してきました。

彼は、「HDIVCは多くのがん患者にとって命を救う治療法であり、すべてのがん治療計画に組み込まれるべきだ」と述べています。
 

がん治療におけるビタミンCの作用機序

ビタミンCは強力な抗酸化物質であり、体内の細胞を保護する働きをします。通常のレベルでは、細胞の損傷に対する防御として機能します。

しかし、高用量を静脈から投与すると、より強力な「プロオキシダント(酸化促進剤)」に変わります。

プロオキシダントとは、酸化反応を引き起こし、フリーラジカルや活性酸素種を生成する物質です。

ビタミンCは過酸化水素を生成し、それががん細胞にダメージを与えて殺す一方、正常な細胞には害を及ぼしません。

「高用量ビタミンCは、がん細胞を自死(アポトーシス)に導く手助けをします」とブライトホープ教授は述べました。「また、コラーゲンの生成を促進し、がんの増殖や転移を遅らせる効果もあります」

ビタミンCは、腫瘍が成長するために必要な新しい血管の生成も抑制します。これは血管新生を制御する遺伝子に影響を与えることで、腫瘍の拡大を困難にするのです。
 

高用量ビタミンCの利点

高用量ビタミンCは腫瘍を必ずしも縮小させるわけではありませんが、がん患者のQOL(生活の質)を全般的に向上させることが知られています。

「患者は、疲労感、吐き気、抑うつ感が軽減されたと報告しています」とブライトホープ教授は述べています。「睡眠の質が良くなり、食欲も増し、身体機能も改善します」

これらの利点は、特に緩和ケアを受けている患者にとって重要であり、彼らの快適さを最優先に考えるケアにおいて大きな意味を持ちます。

また、ブライトホープ教授は、がん患者に多く見られる炎症をビタミンCが抑えることができると指摘しています。炎症を減らすことで、痛みや不快感が軽減されます。
 

高用量ビタミンCの安全性

HDIVCは、非常に高用量でも一般的に安全とされています。最も多い副作用は軽度で、吐き気や口の渇きなどが報告されています。まれに重大な副作用が発生することがありますが、それは特定の遺伝的疾患を持つ患者に限られ、腎結石や血球の損傷が確認されています。

「HDIVCは、医師の監督のもとで投与されれば安全であることが証明されています」とブライトホープ教授は述べています。
 

高用量ビタミンCは化学療法に影響するのか?

ビタミンCが化学療法に影響を与えるかどうかについては議論が続いていますが、ブライトホープ教授は「むしろ助けになる」と考えています。

「一部の研究では、ビタミンCが化学療法の効果を高める可能性が示されています」と彼は述べています。

「がん患者は病気や治療によってビタミンCが不足しがちです。ビタミンCは免疫系にとって不可欠であり、全体的な健康の改善にも役立ちます」
 

今後の展望

がん治療におけるHDIVCの最適な使い方を明らかにするには、栄養学とがん治療の両分野の専門家によるさらなる研究が必要です。

「ビタミンCの最良の活用法を見つけ、それをがん治療の標準的な一部にするためには、より多くの臨床試験が必要です」とブライトホープ教授は語っています。
 

結論

ブライトホープ教授は、HDIVCがすべてのがん患者の治療計画に組み込まれるべきだと信じています。HDIVCは生活の質を高め、炎症を抑え、がん細胞に直接作用します。

さらに研究が進めば、がんと闘うためのより強力な武器になる可能性があります。

「その臨床的有効性と最適な使用法をがん治療において確立するには、さらなる研究が必要です。そしてその研究は、栄養腫瘍学および栄養医学の専門家によって行われるべきです」と、ブライトホープ教授は強調しました。

(翻訳編集 日比野真吾)

オーストラリアを拠点とする大紀元のフリーランス記者。受賞歴のある短編小説作家であり、ジャーナリスト、コラムニスト、編集者としても活動している。これまでに『シドニー・モーニング・ヘラルド』『サン・ヘラルド』『ジ・オーストラリアン』『サンデー・タイムズ』『サンデー・テレグラフ』などの新聞に記事が掲載されている。ジャーナリズムを専攻したコミュニケーション学士号に加え、創作分野における2つの大学院学位を有している。