飛行機と同様に、クルーズ船のスタッフも緊急事態や医療的な問題を伝える際に「暗号」を用います。多くの乗客はそれが何を意味するか理解できず、パニックを防ぐことができます。今回は専門家がいくつかの暗号を紹介しており、次回クルーズ船に乗る際には、できれば耳にしたくない言葉ばかりです。
イギリスの『デイリースター』によると、荷物預かりサービス会社BounceのCEO、コディ・キャンディ(Cody Candee)氏が、クルーズ船で使用される可能性のある緊急コードを以下の通り説明しています。
チャーリー(Charlie)
船上に安全上の脅威があることを意味します。これには嵐などの悪天候も含まれ、すべての乗員と乗客の安全を守るための予防措置が取られる可能性があります。このコードを耳にした場合は、落ち着いて船の指示に従うようにしてください。
オスカー(Oscar)
このコードは「人が海に落ちた」ことを意味します。この場合、クルーズ船は停止し、救助活動が始まります。救命ボートの展開や、落水者の捜索・救助が行われます。
コディ氏は「もし甲板でこのコードを聞いたら警戒を保ち、水中に誰かを見かけたら、直ちにクルーズスタッフに知らせてください」と呼びかけています。
このような事件は実際に発生しています。先月にはアメリカのロックバンド、タイム・ダウン(Taime Downe)氏の婚約者が、クルーズ船「エクスプローラー・オブ・ザ・シーズ」に搭乗中に海に落ち、死亡が確認されました。
赤いパーティ(Red Party)またはブラボー(Bravo)
これらのコードは、船上で火災やその他の危険が発生したことを示します。乗組員は火災時の対応訓練を受けており、迅速に避難手順が開始されます。
エコー(Echo)
他の船や陸地に衝突する可能性がある状況、あるいは強風や港での漂流などで危険が生じていることを意味します。
ライジングスター作戦(Operation Rising Star)
これは乗客や乗員が死亡した、あるいはクルーズ船上の医療設備では対応できない緊急医療事態が発生したことを示します。
法律により、すべてのクルーズ船には遺体袋と霊安室が設置されている必要があります。
旅行専門サイト「The Points Guy」の専門家、ニッキー・ケルビン(Nicky Kelvin)氏によれば、冷凍室の大きさは船の規模によって異なり、多くは最下層の客室階に設置され、休暇中の乗客の目には触れない場所にあります。冷凍室は通常3〜6体の遺体を収容できますが、実際に使用されることは稀だとされています。
その他のコード(『リーダーズダイジェスト』より)
デルタ(Delta)
船上にウイルスや毒素などの生物的危険が存在する可能性があることを示します。冷静を保ち、スタッフの指示を待ちましょう。
キロ(Kilo)
特定のスタッフが指定された場所に向かい、緊急任務を遂行することを指します。
ピュレル(Purell)またはPVI
公共エリアの清掃が必要であることを示します。たとえば、誰かが嘔吐した場合などが該当します。
シエラ(Sierra)
誰かが担架を必要としていることを示します。
ズールー(Zulu)
船内で喧嘩が発生していることを意味し、近くのセキュリティスタッフが対応する必要があります。
クルーズ会社での勤務経験があるブリタニー・ハウク(Brittany Howk)氏は『リーダーズダイジェスト』に対し、「信頼できるクルーズ会社は、緊急時に特定の暗号を使うことでスタッフの注意を促しつつ、乗客を不安にさせないよう配慮しています」と語っています。
すべてのクルーズスタッフは、こうした専門用語の習得に加え、応急処置や消火訓練などの基本的な訓練を受けています。乗客もこれらの用語を知っておくことで、万一耳にした際に慌てず行動できるかもしれません。
(翻訳編集 里見雨禾)
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