多くの人々が健康を維持し、長生きすることを望んでいます。百歳以上の人々の実例を参考にしながら、中医学の専門家たちは、古代の知恵と現代の研究を統合し、長寿に寄与する4つの重要な要因——食事、運動、睡眠、精神状態——を特定しました。この包括的なアプローチは、健康で長く生きるための実践的な方法を示しています。
食事:自然食品とフリーラジカルの予防
印象的な例として、日本の94歳の佐藤ヒデさんが挙げられます。彼女の生物学的年齢は非常に若く、基礎代謝年齢は36歳、血管年齢は20歳です。インタビューでは、朝食に魚と納豆、昼食に野菜、夕食に肉をよく食べると語っています。お茶やワインを飲む習慣があり、アイスクリームなどのデザートも楽しみます。揚げ物や塩辛いスープは避け、自家製の味噌汁を好み、サプリメントには頼らず、食事だけで栄養を摂取していることが特筆されます。
佐藤さんの食習慣は、現代医学の研究結果とも一致しています。
カナダの中医学専門家であるジョナサン・リュー氏は、佐藤さんの果物や野菜の豊富な摂取量が、代謝や揚げ物、喫煙、過度な運動によって生成される有害な分子「フリーラジカル」に対抗するのに役立つと述べています。
研究によると、フリーラジカルは動脈硬化、アルツハイマー病、関節炎、脳卒中、心臓病、早期老化に関係している可能性があります。果物や野菜に含まれるフラボノイドなどの抗酸化物質は、フリーラジカルによるダメージを打ち消し、体内での様々な問題の発生を防ぎます。
リュー氏は、日本の沖縄や中国の広西チワン族自治区・馬馬県など、長寿率が高い地域では、地元の高齢者が非常にシンプルな食生活をしていると述べています。彼らは新鮮な果物や野菜を選び、玄米や大豆製品を積極的に取り入れています。
また、中医学では食事の適量を重視しており、「満腹の70~80%で止めること」が推奨されています。過食は胃腸を傷め、ひいては全身の臓器機能に影響を及ぼす可能性があるためです。
研究によれば、栄養バランスを保ちながらカロリー摂取を制限することで、多くの生物において寿命が延びることが確認されています。人間においても、カロリー制限は体重減少を助け、インスリン感受性を改善し、酸化ストレスを軽減し、老化に関係するバイオマーカーを下げるのに役立ちます。
運動と心肺機能の健康
ジムでのトレーニングではなく、日常生活に取り入れられた運動、特に頻繁なウォーキングは、長寿地域に共通する特徴です。ダン・ビュートナー氏による世界の長寿地域に関する研究でも、ウォーキングの重要性が強調されています。
米国のKFF Health Newsによると、ニューヨークに住む102歳のヒルダ・ジャフィさんは、今でも自分の身の回りのことをこなし、杖なしで歩行し、自家用車で通院しています。彼女は毎日3,000歩を歩き、天気の良い日は屋外に出かけ、平均で8時間の睡眠をとっています。彼女が抱えるのは、胃食道逆流症、時折の心房細動、骨粗しょう症、軽度の坐骨神経痛、そして一時的に現れては消える肺結節など、いずれも軽度の病状にとどまっています。
日本の「超高齢者」である佐藤ヒデさんも、自立した生活を送っています。毎朝起床後に部屋の掃除と料理をこなし、その後に体操を行い、入浴時には水中で足蹴りを500回行っています。
運動は心肺機能を強化し、長寿の重要な指標とされています。2022年に『Journal of the American College of Cardiology』に掲載された大規模な研究では、米国退役軍人75万302人を対象に調査が行われ、心肺機能が最も低い20%の人々の死亡リスクは、心肺機能が最も高い上位2%の人々に比べて、ほぼ5倍高いことが明らかになりました。
また、2018年に『Journal of the American Medical Association Open』に掲載された研究では、12万人以上を追跡した結果、最大酸素摂取量(VO₂ max)が高い人ほど死亡率が低いことが示されました。心肺フィットネスは、VO₂ max(激しい運動中に体が取り込むことができる最大酸素量)を用いて評価されることが多く、この値は有酸素持久力および心血管の健康の重要な指標です。定期的な運動はVO₂ maxを大きく改善し、全体的な健康状態を向上させ、早期死亡のリスクを低下させることができます。
睡眠の質と精神的幸福感
良好な睡眠習慣は、長寿にとって不可欠です。佐藤さんは毎晩寝る前に深呼吸を行い、できるだけ早く眠りにつくよう心がけていました。彼女は1晩に7時間の睡眠をとり、就寝前には携帯電話を使用せず、部屋を暗く保っています。
リュー氏は、睡眠不足が感染症、心臓病、代謝異常、肥満、がんのリスク増加と関係していると指摘しています。
規則正しい睡眠パターンは脳の健康を守り、認知機能の低下を防ぎます。研究によると、中年期に平均睡眠時間が6時間未満の人は、認知症のリスクが約30%高くなることがわかっています。
前向きな姿勢を保つ
精神的な姿勢も、長寿に大きく関与しています。
リュー氏は、社会的および慈善活動に積極的に参加することが、充実した長寿生活を支える重要な要因のひとつであると述べています。たとえば、102歳のヒルダ・ジャフィさんは、今もニューヨーク公共図書館でボランティアガイドとして活動しています。
同様に、佐藤さんは2011年の東日本大震災の後、「人々に慰めを届けたい」という思いから伝統的な工芸人形の制作を始め、現在も人々を励まし続けています。
リュー氏は、退職は社会的な孤立や否定的な態度を意味するものではなく、継続的な自己成長と優しさを実践する新たな機会であり、長寿と生活の質にとって欠かせないものだとアドバイスしています。
(翻訳編集 日比野真吾)
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