栄養学博士のシーナ・マカロー氏と一緒に、食と健康の真実を探りましょう。科学者として訓練を受け、ジャーナリストとして生来の才能を持つシーナ氏が、健康で幸せで自由な生き方について、真実と洞察をお届けします。
あなたが目標を達成できない最大の理由は、怠けているからでも、根性が足りないからでも、時間がないからでもないとしたら? やる気が出ないのは性格の問題ではなく、自分を守るための反応だとしたら?
少し焦げただけのトーストに対してけたたましく鳴る火災報知器を思い浮かべてみてください。確かにうるさいですが、それはあなたを守るためのものです。同じように、ある目標がリスクを伴うように感じられたり未知の領域に感じられたりすると、脳の「セキュリティ・システム」が作動し、「疲れた」「集中できない」「やる気が出ない」といった反応でブレーキをかけてきます。
この反応が、あなたの欠陥ではなく生物的な防御機能であると理解できれば、それに逆らわず、協力することができるようになります。
あなたの中の“セキュリティ責任者”と向き合おう
神経科学者たちは、やる気にブレーキをかける4つの“アラーム”があると説明しています。
1. 危険検知
たとえば、大胆なアイデアを思いついたときやキャリアを変えようと考えたとき、脳の扁桃体が損失の可能性(恥ずかしさ、無駄な努力、社会的な拒絶など)をスキャンし、ためらいを引き起こして安全圏に留まらせようとします。
2. エネルギー節約
脳は身体のエネルギーの約20%を消費します。野心的で不確実なプロジェクトは多くのエネルギーを必要とします。例えば脳は「急に疲れた」と感じさせ興奮状態を下げたり、重要でない作業に気を逸らせたりします。
3. アイデンティティ防衛
「運動が苦手な自分」がマラソンに挑戦するような目標は、長年維持してきた自己イメージと矛盾します。脳は「そんなこと自分には無理」といった否定的な思考を発生させ、現状維持を守ろうとします。
4. 社会的安全
人間は“所属感”を求める生き物です。大きな挑戦(50㎏の減量、起業など)は、周囲との関係性に影響を与えるかもしれません。摩擦を避けるために、脳は受け入れが可能になるまで、やる気を抑制します。
これらのアラームはあなたを妨害する敵ではなく、やりすぎな“ボディガード”のような存在なのです。
アラームを静め、火を灯し、炎を燃やし続ける6つのステップ
ステップ1:火をつける前に、どこに灯すかを決める
マッチを擦る前に、「なぜこの炎を灯すのか」という理由をはっきりさせましょう。誰も、SNSで見た名言だけでエベレストを登ろうとはしません。そこには、その人なりの「理由(=なぜ)」があります。
その「なぜ」は賞賛、メダル、SNSの投稿などの「外的動機」でも、家族の思い出、自分の夢、人生の意味などの「内的動機」でもかまいません。
たとえば、ある友人は冷蔵庫に娘の写真を貼り、「60歳になっても公園であなたを追いかけられるように」という言葉を添えて、10kmレースのためのトレーニングを続けました。
あなたの「なぜ」がリアルに感じられるよう、視覚・聴覚・嗅覚などの感覚と結びつけてください。鏡に書いても構いません。
私の実践例:
- 未来の自分へのハガキ: 1年後の自分からの手紙を書いて、自分宛に郵送し、毎日見える場所に飾る。
- 感覚のアンカー: 特定の曲や香り、画像を使って、すぐに「なぜ」を思い出せるようにする。
- 選択的な共有: 信頼できる1〜2人に進捗を報告し、応援してもらう。
「なぜ」が明確になれば、「どうやって」は簡単になり、「何をやるか」は止まらなくなります。
ステップ2:雷を待たずに、自分でマッチを擦る
やる気は、雷のように突然降ってくるものではありません。むしろキャンプファイヤーのように、まず火種が必要で、燃料を少しずつくべながら維持していくものです。そして、その火をつけるのはあなた自身です。
やる気が出るまで待っていると、夢が叶わないことがあります。心理学では「行動活性化」という考え方があります。やる気があるかのように行動すると、脳がその気分に追いついてくるというものです。
ドーパミン(やる気の神経物質)は、行動の後に分泌されることもあります。一歩踏み出すことで、もっと続けたくなるのです。
私の実践例:
- 2分ルール: 2分以内に終わる作業(メール返信、ジャンピングジャック10回など)はすぐにやる。
- 実行意図スクリプト: 「もし6時になったら、ランニングシューズを履く」と事前に決めておく。
- アカウンタビリティ・ピン(責任の一押し): 「マッチ点火」と友人にメッセージを送って始める。
大学院の論文が嫌になったとき、私はとりあえずファイルを開いて、コンマをひとつ直していました。それだけで、9割の確率でそのまま作業が進みました。
ステップ3:小さな成功で炎を育てる
「30日で小説を書く!」「夏までに50㎏減量する!」といった大きすぎる目標は、最初は勢いがあっても、すぐに燃え尽きてしまうことがあります。
必要なのは、「最小限で進める努力」、つまり「マイクロ・ウィン(小さな成功)」です。
モチベーションは勢いに依存し、その勢いは小さな達成から生まれます。5マイル走る代わりに、まずは靴を履いて5分歩く。30分の瞑想の代わりに、2分ではじめる。一回だけ腕立て伏せをする、1文だけ書く、貯金箱に1ドル入れる。
それが「笑えるくらい簡単」になるまで小さくして、実行してみてください。
小さな達成を「よしっ!」と声に出して祝うことで、習慣の回路が形成され、やる気が持続します。ドーパミンの分泌で、内なる炎が強まります。
ステップ4:恐怖のブレーキを外す
「やる気が出たら始めよう」と思っていても、結局は先延ばしにしてしまうことはありませんか? 目標を立てて、ToDoリストやビジョンボードを作り、モチベーション動画を繰り返し見ても、行動に移せないときがあります。
これは、怠惰ではなく“防御反応”かもしれません。
私自身、「月曜からダイエットを始めよう」と言って、午後には挫折していたことがあります。その背景には「私はそんな幸せを受け取るに値しない」という心の声がありました。だから無意識に自己破壊的な行動をしてしまったのです。
もしあなたにも心当たりがあるなら、自分を責める必要はありません。それは壊れているのではなく、自分の中の大切な何かを守ろうとしているのです。
「私はふさわしくない」というブレーキが現れたときの対処法:
- ブレーキを見つける: 「自分には無理」「月曜からやる」といった心の声を紙に書き出して、自分の内面の反論を可視化する。
- 証拠で反論する: 過去に成し遂げた3つの成功体験を思い出す。思いつかないときは、友人に頼んで「あなたができる理由」を教えてもらう。
- 恐怖に名前をつける: 「判断されるのが怖い」「永遠に足りないと感じるのが怖い」と口に出して言う。感情に名前をつけることで、脳の扁桃体から前頭前野に活動が移り、パニックが視点に変わります。
- 身体のアラームを解除する: 最小限の公開行動(例:自分用に30秒の動画を撮る)で段階的に慣らす。手を振る、ため息をつく、4-7-8呼吸法(4秒吸って7秒止めて8秒吐く)などの身体的解放で安全感を与える。
最後に「怖いのは普通のこと。これは失敗じゃなくて学び」と声に出して、自分に思いやりをかけてください。
ステップ5:変化のための余白をつくる
もし予定表が電話帳のようにぎっしり詰まっているなら、やる気がないのではなく、“窒息している”のかもしれません。
紙に今のすべての予定やタスク、「やるべき」と思っていることも含めて書き出し、自分だけがやれることに○をつけてみましょう。それ以外は、交渉・委任・削除の対象にできます。
予定を削除するのが不安なら「今じゃないフォルダー」に一時保留して、あとで優先度を見直してください。
人生の滑走路を整えられるのは、あなたしかいません。メールボックスに押し付けられる人生ではなく、自分が望む人生を選びましょう。
1時間だけでも空けられたら、炎は再び燃え上がるはずです。
ステップ6:前向きな環境に身を置く
やる気は伝染します。中途半端さも、同じように伝染します。
周囲にあるのが気を散らすもの、否定的な意見、孤独感だったら、それはコンクリートの中で花を育てようとしているようなものです。どんなに強い意志でも、間違った土壌では苦しみます。
目指す人生を実現できるような環境を、意図的に整えましょう。
集中時間はスマートフォンをサイレントに。ランニングシューズは玄関に置き、ギターはスタンドに、野菜は目の高さに切って置いておくなど、望ましい行動を「一番簡単な選択」にしましょう。
あなたを元気にする人、希望を与えてくれる声、心を揺さぶる本、考えを広げてくれるポッドキャスト、可能性を思い出させてくれるメンターたちとつながってください。私はよく、やる気が出ないときに音楽を聴きます。お気に入りの曲だけで、エネルギーが戻ってくることもあります。
あなたの「入力」を意識的に選びましょう。なぜなら、私たちは見つめたものを現実にしていくからです。
マッチに火をつけよう
あなたが探している強さ、明確さ、火花は、すでにあなたの中にあります。ただ、恐れや疲れ、周囲の雑音の下に埋もれているだけです。始めるために許可は必要ありません。必要なのは、小さな火花です。
さあ、マッチに火をつけましょう!
今週の問いかけ
あなたが「大きすぎる」「遠すぎる」「遅すぎる」と思ってしまってしまい込んでいた夢は何ですか? その夢に向けて今日できる“2分間の行動”はなんですか?
この記事で表明された見解は著者の意見であり、必ずしも大紀元の見解を反映するものではありません。
(翻訳編集 井田千景)
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